ブラームスの「バイオリン協奏曲」|ららら♪クラシック

ただ音楽があるのみ

まだ無名の音楽家だった19歳のブラームスは、伴奏ピアニストとして各地を旅していました。旅の途中で出会ったのが天才バイオリニストのヨアヒムです。すぐに意気投合し結びつきを深めていった二人。何よりも音楽家として目指すものが同じであったことが二人の絆を強めたのです。

ヨハネス・ブラームス

二人が活躍した19世紀の音楽界は、新たな音楽のスタイルを追い求めるようになっていた時代。主流になってきていたのは、リストやワーグナーに代表される革新的な音楽でした。作品にタイトルをつけドラマチックな物語や美しい情景などを表現しようとする音楽です。

しかし、ブラームスとヨアヒムはこの流れに反対。1860年、共同で声明を発表しました。

彼らの作品は音楽の最も奥深い本質に逆らうものとして非難もしくは批判されるてしかるべきである。

二人が目指したのは、純粋に楽器による表現だけで音楽を作ること。文学などの要素を排除し、音そのものを大切にすることでした。

20年以上という歳月をかけて完成させた「交響曲第1番」の成功で、ブラームスは音楽の本質に迫ろうとする姿勢は間違いではないと確信しました。そして、満を持して挑んだのが「バイオリン協奏曲」です。

目標はバイオリンの音と技術を生かし、内容が豊富で充実した作品を作ることでした。ヨアヒムはこの決意を何よりも喜び、力を惜しまず作曲を支えました。

ブラームスとヨアヒムが音楽の本質を求め完成させた「バイオリン協奏曲」は、二人の天才の絆から生まれたのです。

地味にスゴイ!

ブラームスの生きた19世紀はバイオリンの奏法が確立され、華やかな名人芸が人々を魅了する時代となっていました。しかし、ブラームスは時代の流れに逆らいソロバイオリンが派手ではない協奏曲を作りました。

1、地味に難しいテクニック

バイオリンのテクニックの一つ「重音」は、左手で二つの弦を押さえて異なる音を同時に鳴らします。パガニーニはこのテクニックで華やかさを演出しました。ブラームスのバイオリン協奏曲にも重音のテクニックが隠されています。

2、地味にオーケストラを盛り上げるソロバイオリン

単純な動きを繰り返すオーケストラにソロバイオリンもとても地味な動きです。ところが、二つが一緒になると音楽に命を吹き込むのです。

「ららら♪クラシック」
ブラームスの「バイオリン協奏曲」

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