結婚詐欺師・福地正行の巧妙手口|Nスタ

結婚詐欺師・福地正行(ふくちまさゆき)被告(38歳)は巧みな言葉で多額の現金を騙し取り、中には妊娠した女性もいました。関東を中心に結婚を約束した女性から次々と金を騙し取っていました。

神奈川県に住む30代の女性が福地正行と知り合ったのは6年前。当時、女性は28歳でそろそろ結婚をと意識し始めた頃でした。背が高く優しい性格だったという福地正行。口数は少ないものの時より冗談を言うのが魅力だったと女性は言います。甘え上手なところもあり、女性は結婚前提に交際を始めました。

複数の会社を経営していると語っていた福地正行。最初はデート代も全て福地正行が支払っていました。そして、交際を始めて3ヶ月。女性は妊娠しました。女性はすぐに福地正行に報告すると喜んでくれたといいます。

福地正行は2人の新居として新築マンションを購入しようと言い出しました。「父親の遺産があるから君は出さなくて大丈夫」と言った福地正行。全ては順調に行くかに思えました。

しかし、金を用立てる時間がないと言ってマンションの頭金300万円を貸して欲しいと頼んできました。女性は少しも疑うことなく親から借りた金を福地正行に渡しました。

さらに、病気療養の名目で福地正行は金を要求するようになりました。また「新しいビジネスを始めるのに必要だからクレジットカードを作って」といって女性にクレジットカードを作らせ自分に貸すように要求しました。ところが、明細を見るとキャバクラや家電量販店からの請求で、金額は総額で約60万円にも及びました。

福地正行は金を借りるたび手書きの借用書を用意し返済を約束していました。女性はまだ福地正行を信じたい気持ちがあり、親や知人から借金を重ね金を工面し続けたといいます。

しかし、ふと思い立ってかけた1本の電話によって女性が抱いていた幻想は全て崩れ去りました。

女性がマンションの営業マンに電話をすると「ご契約されていないです」と言われたのです。騙したのではないかと、福地正行に問い詰めるとこう言ってきました。

貯金してると思えばさ、そう考えれば物は考えようじゃん。一緒になったときに貯金していると思えば何の不平不満もないでしょ。

もう無理だと思った女性は赤ちゃんを中絶。その後も福地正行に金の返済を求めると暴力団の影をにおわせるようになってきました。ほどなくして福地正行は女性の前から姿を消しました。

その後、ふとインターネットで福地正行の名前を検索してみると「福地正行被害者の会」なるサイトがあったのです。福地正行は他にも三沢幸太安島正行小松勘九郎といった複数の偽名を使い分けていました。さらに、何種類もの名刺を作り相手によってパソコン教室の経営者、バスケットの協会役員などと肩書きを使い分けていたことも判明。

被害者は20代~40代まで独身の女性ばかりでした。地域も関東だけでなく名古屋・京都と広範囲に渡っていました。

茨城県に住む30代の女性もまた福地正行と結婚の約束をして妊娠をした一人です。女性が福地正行の卑劣さに気づいたのは見知らぬ女性からかかってきた1本の電話でした。福地正行の交際相手であると名乗った女性は福地正行の子を身ごもっていると言いました。女性が選んだのは中絶。しかし、電話の女性はその後出産したと言います。

女性から金を騙しとっては姿をくらますことを繰り返してきた福地正行。インターネットの掲示板に被害を訴え出た女性は約20人。被害総額は少なくとも3000万円にのぼります。

2012年7月、福地正行は詐欺の疑いで逮捕されました。裁判になった被害女性8人が福地正行と交際していた時期を見てみると、福地正行は多い時で4人の女性と同時に交際していたことが分かりました。

福地正行は茨城県内の高校を卒業。その後パソコンの資格を取ったものの特定の仕事には就いていなかったと言います。裁判で犯行の動機についてはこう語ったと言います。

私のような人間がどんなに努力しても毎月何百万円も稼げるわけではなく、私にとってはそれが簡単にお金を得る方法でした。

親密になると女性は盲目的になって客観的に冷静な判断ができない。愛情はお金で買うことができない。お金が絡んだら本当の愛じゃないということをかみしめなくてはいけない。(結婚詐欺に詳しい河原崎弘弁護士)

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