世界最北の狩人ポーラーイヌイット|地球イチバン

NHK総合テレビの「地球イチバン」で世界最北の狩人ポーラーイヌイットについて放送されました。地球で一番北のハンター、ポーラーイヌイットたちが暮らすのはグリーンランドのカナック村です。グリーンランドというものの作物は育たず木も全く生えていません。カナック村の村民は586人、犬は2000頭。カナック村では食べ物の大半は野生動物の肉です。野菜や穀物が全く育たないからです。キビヤックと呼ばれる鳥を発酵させた保存食はビタミンが豊富で野菜に代わる貴重な食べ物です。

 

イッカクは1頭とれれば家族や親戚が一月は食料に困りません。そのため村人にとっては特別な動物です。しかし、イッカクは年に1頭捕るのも難しいもの。ナイマンギッチョ(59歳)はイッカクを去年3頭もとらえた名手です。イッカクは警戒心が強く音に敏感なため特殊な方法でしかとることが出来ません。カヤックで静かに近づき銛一本で仕留めるのです。モーターボートや銃を使うと、その音に怯えて二度と近寄らなくなると伝えられてきました。イッカク猟は長いと1ヶ月も帰れないこともあります。その間は氷の上で生活します。

 

犬ぞり猟で最も危険なのは氷が途中で割れることです。裂け目が広がってしまえば二度と陸に戻れないことになります。数年前、ハンターが命を落としました。新しい割れ目が出来ると鳥は魚を求めてそこに集まる習性があります。そのためハンターたちは鳥の動きに注意しているのです。

 

6月下旬は春から夏への季節の変わり目です。天気が荒れ狩りに出られない日が続きます。そんな時頼りになるのは女性たち。獲物の皮を加工して防寒具をつくり家計を支えます。今でも冬場の服は動物の毛皮で作っています。数十年前までは家さえも動物の骨と皮で出来ていました。獲物の体を無駄なく使うことで極限の世界を1000年もの間生き抜いてきたのです。

 

しかし今グリーンランドでは人々の価値観を揺るがすような変化が起き始めています。政府は豊かな地下資源を活かし経済活性化に力を入れています。温暖化で氷が溶け出し石油やダイヤモンドなどを掘り出せる可能性が出てきたからです。カナック村の若者たちもクマンガピックを除いてハンターになりたいという人はいません。ハンターの家に生まれたクマンガピックは幼い頃から父親と一緒に狩りに出かけ、そり犬と共に育ちました。ハンターになりたいと思ったのは、おじいちゃんがとったイッカクの角を貰ったことでした。

 

7月は一年で最も多くの動物がカナック村にやってくる季節です。ハンターたちにとっては勝負の時。たくさんの肉を蓄えないと冬の生活が厳しくなります。家族のために命と向き合う狩り。この時期だけは一家総出で行います。限りある食べ物を未来へ繋ぐ。それが極北のハンター、ポーラーイヌイットたちの生きる極意です。




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