首が伸びる謎の病 マルファン症候群|ザ!世界仰天ニュース

ウクライナのニコラエフに住むリュドミーラ・チェチェンコーワさん(18歳)は、身長207cm異常に長い首の持ち主です。姉のタマーラさん(20歳)も身長が209cmもあります。妹のリュドミーラさんは病の影響でこのような体になったと言います。

リュドミーラさんは、幼い頃は他の子供たちとあまり変わらない体格でしたが、12歳になると背が急に伸びだしました。12歳で身長は178cmに。それは父の身長と同じでした。しかし、姉も14歳で身長が180cm以上もあったので、リュドミーラの背が高いのは病気のせいだとは思いませんでした。

同級生にもからかわれ、背が高くなるのが嫌で食事もあまりとらないように。しかし、それでもリュドミーラの背は伸び続けました。そして運動をするとすぐに息が上がるように。また背中がひどく痛むようになりました。ついに息苦しさに耐え切れなくなり病院へ運ばれました。

病院でレントゲンをとると背骨が30度も曲がっていることが判明。脊柱側湾症(せきちゅうそくわんしょう)と診断されました。

脊椎側弯症の多くは原因不明で、姿勢の悪さなど生活習慣は関係ないと言われている。ごく稀に曲がった背骨の影響で肺がうまく機能しなかったり痛みを引き起こすこともある。

リュドミーラが息苦しかったのも曲がった背骨が肺を圧迫していたからでした。背骨がこれ以上曲がらないようコルセットをつけての生活が始まりました。しかし、コルセットをしていても息切れや動悸はひどくなる一方でした。

リュドミーラは15歳になると身長が2mにまで成長しました。首もますます伸び好奇の目で見られるように。そして急激に視力が落ちていきました。

2012年、病院で定期健診を受けていると背骨の歪みが40度まで進行していることが分かりました。成長期ではありましたが、手術にふみきった方がいいと500km以上離れたハリコフの病院を紹介されました。そして、彼女を苦しめ続けていた本当の原因が判明しました。マルファン症候群です。

マルファン症候群

マルファン症候群とは、第5番染色体フィブリリン遺伝子に異常があり、細胞と細胞をつなぐ結合組織に症状が出る遺伝子疾患です。約5000人に1人の割合で発病するとされています。

典型的な症状が現れるのが骨。マルファン症候群の患者の多くは背が高くなり細長い手足と指を持っています。これは骨の成長にブレーキをかける遺伝子に異常があり、骨が過剰に成長してしまうからです。中でも腕や足などの細長い骨に異常が出やすく、体のバランスとは不釣合いに長くなります。

さらに、胸の骨がへこんだり、逆に出っ張ったり、背骨が湾曲してしまったりもします。また手や足の指も長くなります。成長期が過ぎれば必然的に骨の過剰な成長は止まります。

問題なのは血管と心臓です。マルファン症候群は、血管の内膜と外膜をつなぐ中膜の強度が弱くなり、血管の壁が膨らみ破裂してしまうことがあります。これは心臓近くの大動脈で起こりやすく重篤な症状を引き起こすこともあります。

また、圧が強くかかる心臓の左側が拡張してしまうこともあります。すると弁の閉鎖不全が生じ血液の逆流が起こってしまうのです。

リュドミーラの息切れは背骨の曲がって肺が圧迫されている事も1つの原因でしたが、そもそも心臓の弁に問題を抱えていたことが最大の要因でした。

さらに、目も水晶体を支えている靭帯に問題が生じてズレてしまい視力が悪くなる人も多いです。症状は様々ありますがリュドミーラのように首が長くなる例はきわめて稀なケースです。

75%は親からの遺伝で、25%は突然変異で起こるとされています。

アメリカではマルファン症候群に対する認識が進んでおり、大学のバスケットボールリーグでは選手への検査を義務付けている。

リュドミーラのもとには、背が高い少女がいるという噂を聞きつけたモデル事務所からのオファーがきました。

リュドミーラは脊椎側弯症の手術を受けました。つらいリハビリにも耐え、学校にも無事に戻ることができました。また定期健診を受け成長を止める薬や血圧をコントロールする薬を飲むことで今では症状もかなり緩和されました。

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