あなたの中の男と女~LGBTの枠を超えて~|特報首都圏

NHK総合テレビの「特報首都圏」であなたの中の男と女~LGBTの枠を超えて~が放送されました。心の性は、最新の科学で様々な影響によって成り立つことが分かってきました。LGBTと呼ばれる性的マイノリティの人たちへの関心が高まる中、私たちの心の中にある性のあり方を見つめます。

2015年、科学雑誌「Nature(ネイチャー)」に掲載された記事が世界の注目を集めました。私たちの性別の境界が実は曖昧で、男女を単純に分けられないとしています。何が男女を分けているのか、動物の研究からその秘密に迫ろうという試みが行われています。埼玉大学大学院の塚原伸治(つかはらしんじ)准教授は生まれたばかりのラットなどに男性ホルモンを大量に分泌させ脳への影響を調べてきました。脳の中の生殖活動に関わる部位は、通常オスがメスより大きくなっていますが、男性ホルモンを投与したメスはオスと同じ大きさに変化していることが分かりました。塚原さんは人間でもホルモンによって脳が変化し、心の性が左右されることがあると言います。人間は胎児の時に大量の男性ホルモンが分泌され、脳が男性化します。このとき、脳が受け取るホルモンの量によって男性化する度合いが変わるとしています。

心の性には遺伝子も大きな影響を与えるとみられています。東北大学大学院の山元大輔(やまもとだいすけ)教授はショウジョウバエの遺伝子と求愛行動の関係を研究してきました。山元教授が遺伝子を操作したところ偶然、メスに全く興味を示さないオスが生まれました。その無関心な様子から「サトリ」と名付けました。ところが、サトリは性に無関心なわけではありませんでした。メスに見向きもしないかわりに同性のオスに求愛行動を起こしたのです。ホルモンや遺伝子によって左右される性。言葉を操り、社会性が高い人の場合はどうなのでしょうか?人間関係など周りの環境によって心の中の性に気づいた人がいます。

阿井束裟さん(30歳)は高校生までは男性として生きてきました。もともと心の中に性への小さな違和感を持っていた阿井さんは、大学生のとき同性愛の友人に出会い、自分の心の中にある女性をハッキリ意識するようになりました。就職を前に、自分らしく社会で生きていこうと男性から女性に性別を変える手術を受けました。心の性と環境の関係は研究でも明らかになっています。臨床心理士の佐々木掌子さんは3000組を超える双子の調査を行ってきました。調査の結果、同じ遺伝子を持った同じ性の双子でも周りの環境によって心の性が異なっている場合がありました。

真田健太郎さん(26歳)は自分は男性なのか女性なのか心の性に長年悩んできました。最近、ようやく一つの結論に行きついたと言います。それは無性。幼い頃から厳しいしつけのもと女性らしさを常に求められてきた真田さん。2年前まで女性として生活してきました。真田さんが男でも女でもない無性として生きるきっかけとなった出来事があります。職場で「女は女の仕事をしていればいい」と言われ、家から出られなくなってしまったのです。そんな時、当時親しくしていた男性から送られてきた「お前はそれでいい」というメッセージが真田さんを救いました。この言葉をきっかけに真田さんは男でも女でもない存在として生きることにしたのです。

今、真田さんのように自分の心の性を男女の枠にあてはめない人が現れています。自らを男でも女でもない「Xジェンダー」と呼んでいる人たちです。真田さんは同じ悩みを共有することで性別にとらわれずに生きる自信が得られました。


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