学び続けたい ~夜間学校 15歳の春~|特報首都圏

NHK総合テレビの「特報首都圏」で学び続けたい~夜間学校15歳の春~が放送されました。川口市の公民館の2階で毎週ボランティアによる勉強会が開かれています。川口自主夜間中学です。代表をつとめるのは金子和夫(かねこかずお)さんです。元小学校教師で20年前から代表をつとめています。「学びたいと思っている方だれでも学べます」と掲げてきました。授業は火曜日と金曜日の午後6時半から2時間、無料で行われています。学校の授業についていけない中学生や若い頃学ぶ機会がなかったお年寄りなど約60人が通っています。教えているのは元教員など20人のボランティア。生徒のレベルに合わせた教材を使った1対1の授業です。最近、金子さんが危機感を抱いていることがあります。それは家庭の経済的な事情で進学困難な生徒が増えていることです。

 

高校入試への準備が本格化する12月。金子さんが気にかけている生徒がいました。康介さん(15歳 仮名)です。彼は口数が少なく心を閉ざしたままです。康介さんは中学校に馴染めず2年生から学校に通えなくなりました。半年前、勉強の教えを心配した母親に連れられて自主夜間中学にやってきました。金子さんが問いかけても康介さんの返事はハッキリしません。康介さんは母と妹の3人暮らしで、父親とは別居しています。母親は飲食店の仕事をかけもちして家計を支えてきました。午前中から働き、深夜も別の店に勤めています。月収は約20万円で、貯金はほとんどできません。康介さんと話す時間もなかなか持てません。

 

夜間中学には一度高校進学を断念した生徒も通ってきます。小池龍也さん(16歳)は去年、父親から学費が払えないと言われ高校を受験できませんでした。得意なのは英語です。龍也さんの父親は日本人ですが、母親はフィリピン人です。日本で生まれた後、フィリピンで育てられ2年前に戻ってきました。金子さんは高校進学を理解してもらうため父親の武夫さんと面談。今年は早めに入学金を用意してもらうよう頼みましたが返事は芳しくありませんでした。武夫さんは年金暮らしです。また3年前に肺がんを患い健康に不安を抱えています。フィリピン人の妻は多額の借金を残し家を出ていきました。月25万円の年金は借金の返済などで15万円消え、食費や光熱費を払うとほとんど残りません。それでも龍也さんは高校への進学を強く希望しています。長い間、フィリピンの親戚の家で育てられた龍也さんは2年前、これ以上育てられないと言われ日本の父親のもとに引き取られました。専門知識が学べる工業高校に進学すれば自分の力で生きていけると考えています。

 

川口自主夜間中学は元々中学を卒業し、金の卵として都会にやってきた労働者が勉強し直す場所でした。金子さんがこの教室に出会ったのは20年前。まだ現役の小学校教師でした。このとき、ある生徒の存在に金子さんは衝撃を受けました。

「成人した男性の中にこんなにできない人がいるのか。僕自身が教育者として何をやっていたのかという思いが強くなって、この人にどう教えれば基礎学力・知識をわからせるようにできるのか」

夜間中学では今でも基礎学力を身につけようという人たちが勉強しています。半年前から通っているめぐみさん(28歳 仮名)は小学生の時から不登校で、夜間中学で初めて学び直すことができました。高校中退後、いくつもの仕事をこなしてきためぐみさんですが、基礎的な学力がないため職業は限られています。生徒たちが生きるための学力を身につけ、貧しさから抜け出すにはどうしたらいいのか。金子さんは学び続けたいという生徒を支えることが解決の糸口になると考えています。

 

龍也さんは進学について結論が出ないまま、希望する工業高校を受験することになりました。そして無事に合格。金子さんは父親に何とか龍也さんの進学を認めてもらおうと必要な費用を試算。国からの奨学給付金や授業料免除によって入学時の負担は大幅に減らせることが分かりました。金子さんが帰った後、2人はどこまで費用を切り詰められるか一緒に考えました。そして、ようやく高校入学という龍也さんの夢が叶うことになりました。

「普通の高校生になりたい。友達をつくる、日本語の勉強をする。部活に入る」(龍也さん)


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