大阪西成区の中国人妻による替え玉殺人事件|アンビリバボー

フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」で大阪西成区の替え玉殺人事件について放送されました。2002年4月18日、東北A市に住む根本和子さん(仮名)のもとに市役所から連絡が来ました。職員によると最近2度に渡って和子さんの住所を変更する手続きがあったと言います。まずは現在住んでいるA市から実家があった大阪西成区へ。数週間後、大阪市から再びA市へ。そのさい書類に記載ミスがあったと言います。しかし、書いたのは和子さんではありませんでした。誰かが勝手に転入届を出したのか薄気味悪く感じた和子さんは戸籍を取り寄せ調べてみました。すると大阪で暮らしているはずの父が2ヶ月前に死亡したと書かれていました。これは恐ろしい凶悪事件のほんの前触れに過ぎませんでした。

 

実家の父と連絡が取れず不安に思った和子さんは大阪府警に相談に行きました。和子さんの父である根本実ささん(仮名)はかつて鉄道公安官をしていて3人の娘を育てあげました。しかし13年前に妻と離婚し、実家で一人暮らしをしていました。独立し家を離れた娘たちとの交流はほとんどなかったと言います。さらに戸籍によると父は1年前に再婚していました。しかし、このことは和子さんも知りませんでした。相手は中国人のワン・リンシン(仮名)という女性。根本さんがよく通っていた西成区のスナック経営者です。この2度目の結婚から半年後、父の死亡届が出されました。さらに不可解なことに死亡届が出されたのは石川県N市。父とも妻とも縁もゆかりもない土地でした。刑事たちは石川県警に問い合わせ、検死の際の写真を取り寄せました。死因は心筋梗塞で事件性のない自然死とされていました。しかし、父の遺体の写真は明らかに別人のものだったのです。

 

そして和子さんの父・根本実さんの失踪に関する合同捜査が始まりました。和子さんの2人の妹も父の近況については何も知りませんでした。根本実さんの2度目の妻であるワン・リンシンとは連絡がつかずスナックの従業員も居場所を知りませんでした。警察が念のため根本実さんの土地の権利を調査してみると、驚くべきことが判明しました。例え両親が離婚していても子供には親の財産を相続する権利があります。にも関わらず父の土地が娘たちの知らぬ間に全て再婚相手のワン・リンシンに相続されていたのです。根本家の遺産相続を担当した法務局の担当職員によると、ワン・リンシンが3人の娘を連れて手続きに来たと言います。そして職員が相続の意志を尋ねると次女と三女は相続を放棄し、長女・和子とワン・リンシンが半分ずつ遺産を相続する手続きをしたと言うのです。しかし、この娘たちというのは偽者でした。

 

事件発覚から1ヵ月後の2002年5月、まったく別の窃盗事件で一人の男が捕まりました。その男とはワン・リンシンの店の常連の室川(仮名)です。室川は全ての真相を白状しました。室川はワン・リンシンから頼みがあると突然呼び出されたと言います。ワン・リンシンは夫である根本実さんの身代わりを探すためホームレスと接触していました。そして糖尿病のホームレスを根本実として病院に入院させ10日後、無理やり退院させ養生先として室川に用意させた石川県にある一軒家に移動させました。本人には気分転換と言い無理やり散歩に連れ出し体力を徐々に奪っていきました。そしてホームレスを納屋につれこみ拘束し放置。2日後、ホームレスは死亡しました。ワン・リンシンと室川は遺体を部屋に運び病死に見せかけ通報。根本実の名前で入院歴があったため警察も疑うことはありませんでした。そして検死の結果、死因は心筋梗塞。自然死として処理されたのです。そして室川に用意させた女性に3人の姉妹を演じさせ印鑑証明まで偽造し法務局の職員を騙しました。しかし、東北に住んでいながら大阪の土地を相続するのは不自然だったため、わざわざ和子さんの住民票を大阪へ移し変えていたのです。さらに数週間後、和子さんが相続した土地をワン・リンシンに譲るとし、住民票を東北へ戻しました。こうしてワン・リンシンは380坪の土地を全て騙し取ったのです。地価3000万円以上の土地を手に入れたワン・リンシンですが分け前として室川に与えたのは400万円。不満を言う室川に睡眠薬を飲ませ、ワン・リンシンは金を持って逃げました。まんまとワン・リンシンに騙された室川は金に困って窃盗をはたらいたことで別件逮捕となったのです。

 

警察はワン・リンシンを指名手配したものの2年経っても行方をつかむことは出来ませんでした。唯一警察が掴んでいたのは彼女のこれまでの人生でした。北京で生まれたワン・リンシンは42歳まで日本人男性と結婚し来日。しかし、その後すぐに離婚。生活のために労働者の街、大阪西成区で和風スナックをひらきました。店の経営は順調だったものの、やがてその売り上げだけでは満足できなくなり次に考えたのが孤独な老人の遺産でした。常連客の中で一番大きな土地を持っていた根本実さんに目をつけ、見せかけの愛情をちらつかせ結婚。しかし77歳と高齢であったものの根本実さんは元気で体力が衰える気配がありませんでした。このままでは遺産がいつ手に入るかわからないと殺害したのです。

 

事件発覚から5年後の2007年、事件を特集した雑誌でワン・リンシンの写真を見た男性から似ている女性がいると警察に通報がありました。そして2007年10月17日にワン・リンシンは逮捕されました。取り調べでも彼女は反抗的な態度をとり続け事件への関与を一切認めることはありませんでした。昨年11月、ワン・リンシンの無期懲役が確定しました。共犯の室川は懲役15年の刑に処されました。しかし根本実さんの遺体はいまだに発見されていません。