ブルターニュ 不思議の大地 ゴーギャンたちの飛躍|日曜美術館

NHK総合テレビの「日曜美術館」でブルターニュ 不思議の大地~ゴギャンたちの飛躍~が放送されました。フランス・ブルターニュのポン=タヴェンは19世紀末にゴーギャンが暮らした村として有名になりました。1886年、グロアネクはゴーギャンが滞在した宿です。当時この村には都会から離れて暮らそうとする芸術家たちが集まり始めていました。その3年前までパリで株式の仲買人をしていたゴーギャンは株の大暴落で失業。趣味で描いていた絵の道で生きようとブルターニュにやってきたのです。本格的に画家としての第一歩を踏み出した場所でした。そんなゴーギャンがポン=タヴェンで生み出した傑作が「説教の後の幻影(天使とたたかうヤコブ)」です。幻想と現実が一枚の絵の中に表されています。なぜゴーギャンはこうした不思議な絵を描いたのでしょうか?

 

ゴーギャンはポン=タヴァンで白い頭巾の女性を度々絵にしました。白い頭巾はコアフといってブルターニュ独特の伝統衣装です。コアフを被るのはケルトの文化を守った女性たちでした。渦巻き模様など独自の文化を持ったケルトは、古代ヨーロッパに広く分布した人たちでした。フランスではブルターニュ地方にケルトの文化が色濃く残っています。ゴーギャンがコアフの女性たちに興味を持ったのは当時の流行を乗り越えたかったからです。この頃パリで注目されていたのは印象派。都市の輝きをうつろいゆく光の中で表した印象派に対してゴーギャンは新しい表現を模索していました。そんなゴーギャンの目に飛び込んできたのが不思議な雰囲気をかもすブルターニュの女性たちでした。

 

パルドン祭で女性たちはコアフをつけた伝統衣装を着て一年の無事を感謝し祈りを捧げます。当時ゴーギャンもパルドン祭を見て「説教の後の幻影」を描きました。ゴーギャンは絵の中でコアフを強調して、その土地ではぐくまれた誇りの素晴らしさを表そうとしたのかもしれません。

 

さらなる飛躍を求めて1889年、ゴーギャンはル・プールデュに移り住んで創作に没頭。若い画家たちと共同生活をしながら新たな傑作を生み出しました。そのきっかけとなったのがトレマロ礼拝堂でした。「黄色いキリスト」もまた謎に包まれた作品です。磔にされたキリストの背景はのどかな農村風景です。十字架の下にはマリアたちではなく3人の農婦。木々は赤で、丘とキリストは真っ黄色です。ゴーギャンはブルターニュの何に触発されたのでしょうか?手がかりはトレマロ礼拝堂の中にありました。礼拝堂のユーモラスで風変わりな装飾の数々は17世紀頃に作られました。何のためのものなのか一切分かっていません。

 

ゴーギャンはブルターニュで強烈な土地の力を感じとり人々のおおらかで誇り高き祈りに触発されました。その後、タヒチに向かい才能をさらに開花させました。




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