ハッブル宇宙望遠鏡 宇宙の謎に迫る25年の軌跡|地球ドラマチック

NHK・Eテレの「地球ドラマチック」でハッブル宇宙望遠鏡 宇宙の謎に迫る25年の軌跡が放送されました。1990年4月、宇宙空間に巨大な望遠鏡が打ち上げられました。ハッブル宇宙望遠鏡は天文学における最も大胆な子試みの一つでした。ハッブル宇宙望遠鏡は遥か彼方の天体を鮮明にとらえ宇宙の大きさや年齢、恒星が生まれる場所、ブッラックホールやダークエネルギーの存在を明らかにしてきました。しかしハッブル宇宙望遠鏡が画像を地球に届けるまでには数々の苦難と失敗を乗り越えなければなりませんでした。

 

宇宙への窓を開く

人類は太古の昔から宇宙はいつ誕生したのか、空にはいくつ星があるのかと思いを巡らせてきました。それは長い間、謎となさてきました。しかし近年、謎の向こうにある真実が解き明かされつつあります。ハッブル宇宙望遠鏡は宇宙科学の分野に革命的な進歩をもたらしました。大気の影響を受けない宇宙空間では天体の姿をこれまでにないほど鮮明にとらえることができるのです。ハッブル宇宙望遠鏡は時速2万7000kmで宇宙の600km上空を飛んでいます。その中には世界で最高レベルの精密な鏡が入っています。ハッブル宇宙望遠鏡の感度は人間の目の数十億倍もあります。これまで100万回以上の観測を行い宇宙の彼方で起きている様々な現象を鮮やかな画像として地上に届けています。創造の柱と呼ばれる塵とガスの巨大な塊は星がまさに生まれつつある場所です。太陽系もまたこのような場所で誕生したと考えられています。ハッブル宇宙望遠鏡はまたブラックホールの存在を明らかにし、ほぼ全ての銀河の中心部に巨大なブラックホールが存在することを突き止めました。さらに宇宙の年齢を解明し星の数が地球上の全ての砂粒よりも多いことも発見しました。ハッブル宇宙望遠鏡という宇宙への窓を通して私たちは宇宙空間の創造と破壊のドラマを目にし、多くの謎を解き明かしてきました。しかし宇宙空間に望遠鏡を設置することは長い間不可能と言われてきました。

 

天文学者の夢

不可能への挑戦は20世紀半ばに始まりました。宇宙望遠鏡のアイディアは1946年、アメリカの天体物理学者ライマン・スピッツァーによって発案されました。そのアイディアはNASAの科学者たちの夢をかきたてました。しかし1960年代の技術ではロケットを発射させるだけでも困難が伴いました。大きな犠牲をはらってでも地球の外の宇宙空間に望遠鏡を設置しようとするのには理由がありました。当時、天文学者たちが直面していた問題は星の瞬き。恒星を観察するには厄介な邪魔者です。宇宙空間では数十億光年の彼方から来る光を邪魔されずに捉えることができます。大気の影響を受けない宇宙空間に望遠鏡を置くことは天文学者たちの夢でした。その夢の託されたのがハッブル宇宙望遠鏡です。

 

20世紀 別の銀河の発見

宇宙望遠鏡の名前は偉大な天文学者エドウィン・ハッブルにちなんだものです。ハッブルは1920年代に宇宙の進化という先駆的な研究に取り組みました。当時、私たちの銀河系は宇宙の全てだと信じられていました。また宇宙が静止した状態であることがアインシュタインの初期の理論の前提でした。しかし、そのような常識を破りハッブルは宇宙が遥かに大きく進化する存在だと主張。その根拠は星の明るさを測ることから見出されました。恒星の見かけの明るさはその恒星の実際の明るさと地球との距離によって決まります。エドウィン・ハッブルはセファイド変光星という周期的に決まった明るさで輝く星に注目。見た目の光の変化から実際の星の明るさを割り出せは恒星と地球の距離を測れるからです。1923年、ハッブルはアンドロメダ大星雲の中にセファイド変光星を見つけました。その星は約100万光年も離れていました。私たちの銀河の外です。アンドロメダは独自の銀河でした。宇宙は銀河系の外にも広がっていることが初めて明らかになりました。さらにハッブルは銀河が遠ざかっている証拠を得ました。

 

膨張する宇宙

エドウィン・ハッブルは銀河から届く光の波長を調べました。光の波長が短く青みを帯びていれば、その銀河は地球に近づいています。逆に遠ざかっていれば光の波長は伸びて赤くなるはずです。ハッブルが調べた遠くの銀河の光はどれも赤みを帯びていました。つまり遠ざかっていました。また遠くの銀河ほど速く遠ざかっていました。宇宙は膨張しているというハッブルが発見した事実は人類の宇宙への概念を根本から変え、天文学を大きく進歩させました。宇宙が膨張しているという発見は宇宙の始まりはいつなのかという議論に火をつけました。しかし宇宙の遥か遠くを観察してその謎を解明するには地上の望遠鏡では限界がありました。

 

プロジェクトの要は鏡

1977年、ついにプロジェクトが動きだしました。宇宙望遠鏡の要は幅2.4mの精密な鏡です。鏡が遥か遠くの光を捉えハッキリとした画像を結ぶためには長い焦点距離が必要です。しかし、あまり大きなものは打ち上げられません。そこで2つ目の鏡を設置し光を折り返させることにしました。この2つの鏡が完璧に機能することが成功への必須条件です。鏡の製造を請け負ったのは偵察衛星などの製作実績がある工学機器メーカーでした。

 

1990年 打ち上げへ

1990年4月24日、ハッブル宇宙望遠鏡は打ち上げられました。しかし最初に届いた画像は期待とは異なるものでした。

 

鏡に問題発生!

数週間に及ぶ調査の末、問題のありかが判明。望遠鏡の心臓部である鏡そのものに不具合が見つかったのです。光が一点に集まれば鮮やかな像が見えるはずですが、実際は違いました。鏡の表面のカーブにほんのわずかな歪があったのです。そのため光が一点に集まらず、ことなる何箇所かで焦点を結んでいたのです。

 

解決策はあるのか!?

最も有望なのは鏡の誤差を修正する工学機器を新たに取り付ける方法でした。問題は望遠鏡の中でどのようにして修正用の機器を組み立てるかでした。そしてCOSTAR(コスター)と呼ばれる新しい工学機器が開発されました。望遠鏡のカバーをあけ機器をセットした後、スライドするバーから4つのアームが出てハッブル宇宙望遠鏡にいわばメガネをかけさせます。しかし宇宙空間でこれほど複雑な作業をやりとげた例はありませんでした。

 

前代未聞の挑戦

選ばれた宇宙飛行士たちは特殊な任務に備えて20ヶ月間訓練を行いました。1993年12月にスペースシャトルが打ち上げられ2日後、ハッブル宇宙望遠鏡に接近。まず望遠鏡のカメラを交換する作業が行われました。そしてコスターを中に入れる作業が行われました。4時間かけて装置は予定通りの場所におさめられました。

 

星が誕生する場所

生まれ変わったハッブル宇宙望遠鏡によって科学者たちは太古からの宇宙の謎の一部を解明できるようになりました。ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた画像は宇宙の謎の解明につながるものでした。恒星や惑星はどのようにして生まれるのか、オリオン大星雲をとらえた画像がこの疑問に画期的な答えをもたらしました。画像には誕生から間もない星が約3000個写っていました。また原始惑星系円盤も写っていました。

 

宇宙の星の数は?

ハッブル宇宙望遠鏡は人の目では見えないかすかな光をもとらえます。空の暗い一角にハッブル宇宙望遠鏡が見出したのは1万個の光の点でした。点の一つ一つが銀河です。それぞれの銀河には太陽のような星が1千億個存在しています。

 

宇宙の始まりと膨張

ハッブル宇宙望遠鏡はまた宇宙がいつ誕生したのかというヒントも与えてくれました。超新星爆発は宇宙のどこで起きても爆発のエネルギーがほぼ一定で、爆発のピーク時の明るさも一定です。超新星爆発が起きるのは一つの銀河で千年に数回程度です。前触れもなく爆発は突然です。強い光を数週間放った後は消えていきます。稀な天文現象ですがハッブル宇宙望遠鏡ならば一晩に数万の銀河を観測することができます。観測を続けていれば超新星爆発に遭遇する可能性があるのです。科学者たちは超新星爆発の光が地球へ届くのに何年かかったかを測定しました。

 

膨張は加速している!

40以上もの超新星爆発を分析した結果、衝撃的な結論が引き出されました。宇宙の膨張のスピードは増していたのです。宇宙の膨張は50億年前に加速し始めたというのです。では宇宙の膨張を加速させているエネルギーは何なのでしょうか?科学者たちはいまだ謎であるその正体をダークエネルギーと呼んでいます。ダークエネルギーは宇宙にある物質の70%を占め宇宙の膨張を加速させる重要な物質かもしれません。しかしまだ具体的な手がかりはありません。

 

宇宙の年齢解明へ

限りない謎をはらむ宇宙ですが、宇宙がいつ誕生したかという長年の問いには答えがもたらされました。ハッブル宇宙望遠鏡は膨大な数のセファイド変光星や超新星を発見しました。それらの光を測定した結果ビッグバン以来、宇宙がどれだけの時間をかけて膨張したかが明らかになりました。宇宙の始まりは137億年前です。

 

ブラックホールの謎

銀河はどうやって形作られるのかという問いもまた宇宙の大きな謎の一つです。その問いにせまるには銀河の形成と密接な関係があると言われるブラックホールの存在を明らかにする必要があります。問題はブラックホールが目には見えないことです。しかし近くの物質の動きを調べることで存在は分かります。ブラックホールの周りには吸い込まれる物質の渦ができ中心にいくほど渦は速くなります。ハッブル宇宙望遠鏡はブラックホールをM87と呼ばれる銀河の中心部でとらえました。巨大なブラックホールは宇宙にいくつも存在するのでしょうか。様々な銀河の中心部を覗き込んだ結果、ほとんどの銀河の中心部にはブラックホールが存在していました。




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