マラリアワクチンの開発|夢の扉+

TBSテレビの「夢の扉+(ゆめのとびらプラス)」でマラリアワクチンの開発について放送されました。マラリアは世界中の科学者が100年以上も撲滅に挑んできましたが未だに毎年100万人以上の死者を出しています。そんな病と闘うために立ち上がったのが大阪大学微生物病研究所の堀井俊宏(ほりいとしひろ)さん。マラリアの中でも命に関わるとされているのが熱帯熱マラリア。赤道付近の流行地域の中でも被害が深刻な国の一つが西アフリカのブルキナファソ。マラリアで命を奪われるのは子供が多いです。そもそもマラリアの原因は細菌でもウイルスでもありません。マラリア原虫という寄生虫です。髪の毛の10分の1ほどの極小の寄生虫は体に入り込むのです。マラリア原虫の運び屋はハマダラカ。この蚊の中にマラリア原虫が寄生しているケースがあるのです。蚊が血を吸う時、人間の体内へ唾液と一緒にマラリア原虫を100~200個送り込みます。マラリア原虫はまず肝臓にとりつき3日~1週間かけて数千倍に増殖しながら形を変えていきます。それは肝臓から飛び出した後、血液中の赤血球に寄生するため。やがて赤血球を次々に破壊し、マラリア原虫はさらに増殖。赤血球が破壊される時に有害な物質が血液中に出ることで40度近い熱が出ます。さらに感染した赤血球が血管につまることで急性の腎不全や肺水腫、脳障害などを引き起こし最悪の場合死に至ります。今なお年間100万人以上が命を落とし、特に抵抗力の弱い子供は犠牲になりやすいのです。危険な時期は7~10月までの雨季。蚊が大発生しマラリアの患者が急増します。マラリアにかかってもその症状に対処できる治療薬は存在します。それでも多くの命が奪われるのは貧困の問題です。町の市場には闇のルートで国外から持ち込まれた大量の薬が売られています。国が許可していない違法な薬が正規より安く売られているのです。薬の中には全く効果のない偽薬も混ざっています。一刻も早くこの現状を変えたいと堀井俊宏さんが開発しているのがマラリアにかかった時に飲む薬ではなくマラリアにかからないように予防するワクチンです。

 

堀井俊宏さんがマラリア研究を始めたのは約20年前。国から予算をもらう会議の場で「日本にマラリアがないのになぜそんな研究をするんだ」という言葉を浴びました。医療の国際貢献にまだ理解のない時代、何とか予算を獲得し堀井俊宏さんは走り始めました。しかしマラリアワクチンの開発は不可能に近いと言われていました。これまでイギリスやアメリカが開発に挑んできましたがマラリアの予防効果は3~4割程度。劇的に効くワクチンはいまだに世界に存在しません。そもそもワクチンは人間が本来持つ免疫システムを利用する予防法です。免疫システムは病原体が侵入すると敵だと判断し攻撃をする抗体を作り出します。体は一度攻撃した病原体を覚えているため同じ病気にはかかりにくくなるという仕組みです。これを利用したのがワクチンです。毒性を弱めた病原体をあえて体内に入れることで抗体を作らせます。するとその病気に対する強い抵抗力が生まれます。この方法で多くのワクチンが作られてきました。

 

しかしマラリア原虫には抗体が攻撃すべき標的が数千種類も存在し、それが原虫ごとに異なるのです。例え一つのマラリア原虫でワクチンを作っても他の原虫が現れると標的が変わるため攻撃ができません。そのためにワクチン開発は不可能に近いと言われてきました。その不可能に堀井俊宏さんは研究者人生をささげてきました。

 

堀井俊宏さんはマラリア流行地にも関わらずマラリアを発症しにくい人々がいることに注目。ウガンダやソロモン諸島で彼らの血液を調査しました。数千種類の標的を持つと言われるマラリア原虫ですが実は全てにSERA(セーラ)という同じ標的が存在するのではないかと考えました。そこで堀井俊宏さんは世界中から445種類のマラリア原虫をを集め何百回と解析を繰り返しました。すると全ての原虫が同じSERAを持っていることが分かったのです。ついにワクチンが形になり2010年にウガンダで臨床試験を行いました。しかし、ほとんどの人に効き目がなかったのです。堀井俊宏さんはマラリアの流行地では大人になるまでの間に何度も何度も感染し、SERAに対して反応しなくなるのではないかと考えたのです。そのため若者や子供にはワクチンが効くのではないかと再び臨床試験を行いました。すると72%もの予防効果がありました。




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