スパコン京で未来を予測する|夢の扉+

TBSテレビの「夢の扉+」でスーパーコンピュータ京について放送されました。コンピューターが誕生して半世紀以上。一つの頂点が「京(けい)」です。1秒間に計算できる回数は1京回。その能力をいかし、これから起きる未来を予測。例えば日本を襲う台風ですが、京は地球規模のデータを瞬く間に処理し台風の動きをはじき出します。そんな京の運用責任者が平尾公彦(ひらおきみひこ)さん。彼のミッションは国内外の研究者たちと京を結びつけ、世界的な成果を上げること。現在、100以上のプロジェクトを動かしています。

 

京で何ができるのか?

天気予報で目にする台風の進路予想ですが、正確な予測は難しいです。ところが京は実際の台風をコンピュータ上に再現するため予測がリアル。気象衛星が観測した台風と比べても進路や規模がほぼ一致します。ここまでの予測を可能にしている秘密は膨大な観測データをもとに、地球上の約800億箇所の大気の流れや雲の動きを計算しているからです。それにより、これまで不可能だった小さな積乱雲の発生まで予測することに成功。地球規模で異常気象や環境の変化などを予測する研究に役立つことが期待されています。目指すはゲリラ豪雨や竜巻など突発的な気象の変化も事前に分かる天気予報の未来。そうなれば災害に備えることが出来ます。スーパーコンピュータ京の能力をふる活用して未来を予測することこそが平尾公彦さんの任務です。

 

京が見せてくれる未来

京が得意とするのは天気だけではありません。巨大地震にそなえ研究されているのが津波シミュレーション。実在する町を京の中に再現し家1軒1軒がどんな被害に合うのか、50万人の住人がどう避難すればいいのか、被害を最小限にするための研究です。医学の分野では病気の未来を予測します。動脈硬化によって狭まった部分に血小板がたまり血流を妨げていく様子をシミュレーションし、心筋梗塞になる可能性を診断すること。スパコンは未来を見通し私たちを守ってくれるのです。

 

平尾公彦さんの専門は化学で化学反応の予測にコンピュータを使っていました。2007年に、東京大学の副学長に就任。定年を数ヵ月後に控えたある日、国家プロジェクトが舞い込んできました。省庁や企業と連携し世界一のスーパーコンピュータを完成させて欲しいというのです。平尾公彦さんがトップに就任後、わずか1ヶ月で共同開発をしていた民間企業が撤退。そして半年後には事業仕分けによって予算凍結を宣告されてしまい、プロジェクトは止まりました。絶体絶命でしたが、平尾公彦さんはあきらめるわけにはいきませんでした。そして彼はあらゆる知人にメールを送りました。平尾公彦さんは1位を取りたかったわけではありません。人々の未来のためでした。すると、大学や研究機関が科学技術関連の予算削減に反対を表明。ノーベル賞受賞者も首相官邸を訪問し直談判。この波に乗りスパコン開発のプロジェクトは復活しました。平尾公彦さんのメールが多くの科学者を結びつけ京は誕生。2011年には世界一の快挙を達成しました。人の力を束ねれば未来を切り開くことができます。平尾公彦さんは見事、向かい風を追い風に変えたのです。

 

手術の前に結果が分かる!?

現在、京は100以上のプロジェクトを抱え24時間365日フル稼働しています。その一つ一つが科学の成果につながります。新たに挑むのは未来の医療。手術をする前に結果が分かる驚きのシミュレーションです。平尾さんたちプロジェクトメンバーは京の力で外科手術の未来を変えたいと考えています。将来、心臓シミュレーターを使うことで手術をする前に最善の方法を探ることが出来るようになるのです。