地球最後の航海民族~ミクロネシア・中央カロリン諸島~|地球イチバン

NHK総合テレビの「地球イチバン」で地球最後の航海民族~ミクロネシア・中央カロリン諸島~が放送されました。1975年にチェチェメニ号でミクロネシアから沖縄までの3000kmの航海に成功した男たちがいました。エンジンもコンパスも使わない古代の航海術を受け継ぐ、地球で唯一の民だと言います。

 

南太平洋の中央カロリン諸島のポンナップ島は周囲2.5kmの小さな島に300人が暮らしています。電気も水道もなく、携帯電話も通じません。作物もイモくらいしか育ちません。そんなポンナップ島の宝物がカヌー。島の木で作られた船は、魚釣りや他の島との交易に使われていると言います。しかし、誰にでも乗りこなせるわけではありません。このカヌーは「ポ」という男たちだけが扱うことを許されています。ポンナップ島には13人のポがいてシネス・モリプト(65歳)はその頂点に立ちます。島に伝わる航海術をマスターした者だけがポとして認められます。カヌーの動力源は風で、エンジンや羅針盤など機械には一切頼りません。カヌーは「ワーセレス」、風の舟と呼ばれています。最高時速は約20km、ポはこのカヌーで数百キロもの航海をします。方角は波を見て判断すると言います。この海域では貿易風によって起きる東からの波が一番大きく横に長いです。また鳥でも方角がわかると言います。鳥は朝に島から海へ向かい、夕方には海から島に帰っていきます。機械も正確な地図もなかった約3000年前、人類が太平洋の島々へ渡りハワイまで到達することが出来たのは、この航海術があったからこそだと考えられています。

 

ポのジェシー・カイウスはかつてポンナップ島を離れたことがあります。モーターボートに興味を持ちパラオの大学で機械工学を学びました。卒業後、グアムの船舶会社に勤めたものの、自動で動く大型船には舟に乗る楽しさが欠けている気がして1年でポンナップ島に戻りました。ジェシー・カイウスは「ポンナップ島に生まれたからには舟を造ったり乗れるようになって欲しい。けど、これからの事を考えたら島の外の学校で勉強した方がいい。コンピューターの知識とか身につけた方が良いと思うんだ」と言っていました。ポンナップ島には高校がありません。子供たちは14歳で中学を卒業すると多くが一度は島を離れます。

 

5月末、臨時の全島集会が開かれました。隣の島オノウン島から深刻な連絡が入ってきたのです。台風が直撃し食べ物が不足していると言います。オノウン島の高校にはポンナップ島の子供たちが20人以上下宿しています。重要な航海のメンバーが発表され、キャプテンはジェシー・カイウスに決まりました。食料は一斉漁でとれた魚を干物にして届けることに。また子供たちは航海中の貴重な水分となるヤシの実を集めました。そしてタロイモも収穫されました。ジェシーが乗り組み員に選んだのは経験豊かな6人のつわもの。マストの位置には力自慢のボブを配置しました。今回はさらに新人のサンタリーノを加えました。サンタリーノはオノウン島出身で、ポンナップ島に婿入りして以来一度も帰っていないのだと言います。ジェシーは風を読みながら最も速く辿り着ける針路を選択します。ジェシーの指示で帆の向きを180度変えましたが、この時は最も事故が起きやすいです。帆が風で吹き飛ばされれば、たちまち漂流の危機に陥ります。力自慢のボブが帆をおさえこんで事なきを得ました。こうして方向転換を繰り返しながら嵐を避けながら進んでいきます。22時間の航海で160km離れたオノウン島に辿り着きました。ジェシーはオノウン島の高校に下宿している息子ジェイクに再会しました。そして十数年ぶりに故郷に帰ってきたサンタリーノは母と再会しました。2つの島を繋いだ舟の名はコイノニア号。絆という意味です。