超能力は実在するのか?超能力者の謎に迫る|幻解!超常ファイル

NHK総合テレビの「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」で超能力は実在するのか?Part-1超能力者の謎に迫るが放送されました。手を触れずに物を動かし目に見えない物を知覚する超能力は実在するのでしょうか?

 

人類には未知の力が存在するか否か、この議論が盛んになったのは19世紀後半以降のイギリス・ロンドン。物質の重さをなくすことで物や自らを浮かびあがらせる空中浮遊。霊の形を実体化させるエクトプラズム。霊媒と名乗る人々が発揮する不思議な現象について未知の力だと認める者、トリックとして疑う者など賛否両論が飛び交いました。やがてこうした動きは日本にも上陸。1909年(明治42年)最初に大きな話題となったのが九州・熊本の千里眼婦人・御船千鶴子(みふねちずこ)です。千里眼とは透視能力のことで、御船千鶴子は封筒や箱の中にある紙に書かれた文字を手に持つだけで言い当てることが出来ました。さらに1910年には四国で頭にイメージした映像を写真乾板にうつしだす念写の長尾郁子(ながおいくこ)が現れました。この常識を超えた現象に対し、東京や京都の帝国大学の学者たちが検証実験に挑みました。御船千鶴子は透視する際に後ろを向き、手元が学者から見えないようにしてしまうことが多く、長尾郁子は実験を自宅で行い写真乾板を別の部屋に置くように指示し誰も近づかないよう求めるなど不審な行動が多くありました。見えないところでトリックを仕込んでいるのではないかと多くの学者は疑いましたが、本人が「力を発揮するにはこの段取りが必要」と訴えたため従わざるおえませんでした。この様子に世間は「千里眼は手品」と断定。しかし、トリックの確実な証拠が見つかったわけではなく謎が残る幕切れでした。

 

半世紀の後、科学技術が発達し1970年代以降、超能力をめぐる環境は大きく変わりました。テレビでの超能力番組の登場です。スプーン曲げでは、スプーンを持った手の様子はテレビカメラの前で隠されることなく最後まで映し出されました。体の中の状態を外から見るだけで言い当てる人体透視、行方不明の人の居所をつきとめる遠隔透視。数百万人が監視する前でのトリックは困難のように思えます。実際に超能力番組の収録に立ち会ったSF作家の山本弘さんが関心を持ったのは透視能力を持つという少女が人の体の中の状態を次々に言い当てる番組でした。テレビで見ていると少女は100発100中で当てているように見えましたが、実際に収録に立ち会うと少女は人間の体のあらゆるところを指摘し当たったところだけを編集していたのです。

 

かつて超能力の代名詞だったスプーン曲げもメンタリストのDaiGo(ダイゴ)さんによると別の方法で再現できると言います。スプーン曲げのポイントは金属の性質を理解しどこが曲がりやすいか知ること、筋肉を効率よく使いわずかな力で変化を与えること、錯覚を利用することです。スプーン曲げはあくまでも物理と心理学を使ったテクニックなのだそうです。

 

1974年10月、科学の専門の世界で超能力をめぐる衝撃的な発表が行われました。科学雑誌「ネイチャー」が超能力実験についての論文を掲載したのです。内容はアメリカ・スタンフォード研究所が行った透視実験について。被験者はユリ・ゲラーです。ユリ・ゲラーは当時スプーン曲げによって世界的に話題を巻き起こしていました。遮断された部屋に入ったユリ・ゲラーが実験者が描いたイラストのイメージを読み解き絵に表すという実験でした。第三者が両方の絵を照らし合わせると、偶然とは思えないほど一致したと言います。しかし論文を掲載したネイチャーは「論文を査読した3名は全員このような印象を持った。被験者が意識的または無意識的に不正を生じさせる可能性に対する予防措置が非常にあいまいである。学術雑誌への掲載は科学界から正式な認可を受ける行程ではない。むしろそれは精査されるに値するものがあることを社会に知らせる役割を果たしているのに近い」と書いています。つまり今回の実験はトリックや不正を防ぐには不十分であり、掲載されたからといって超能力が認められたわけではないとしているのです。

 

科学者たちの超能力者研究はさらに続きました。1995年、アメリカ政府が極秘の超能力研究を行っていたことを示す報告書が発表されました。過去20年、アメリカ軍を中心に見込みがある者を集め透視能力を軍事利用するための研究・実験をしていたというのです。一般に「スターゲイト計画」と呼ばれるこのプロジェクトが行われたのは1970年代。アメリカとソ連が東西冷戦の緊張状態にあるさなかでした。スパイが入り込めないソ連側の内部情報を透視能力を使って入手できないか実験を行ったのです。実験の中心人物は旧ソ連領の軍事施設を遠隔透視した時のことを「一時間余りかけて施設の配置図を明らかにしました。施設の一番の特徴は巨大なクレーンです。建物の上にあり移動用の車輪が人の倍もある巨大なものでした」と語っています。こうした20年に渡る研究実験をCIAの依頼で第三者機関が調査。その結果は超能力が実在する証明には程遠いものでした。こうしてスターゲイト計画は終了しました。

 

特別な超能力者たちの実験研究はトリックを完全に防ぐための厳密性と実験結果が本当に超能力を示しているかを判定する客観性で常に壁にぶつかってきました。しかし、こうした困難の先に科学者たちは人類の未知の力を検証するための別の可能性を見出そうとしたのです。