子供の貧困 ~おなかいっぱい食べたい~|クローズアップ現代

NHK総合テレビの「クローズアップ現代」でおなかいっぱい食べたい~緊急調査・子どもの貧困~が放送されました。経済的な理由でお腹いっぱい食べることもままならない子供たちが増えています。7月に発表された子供の貧困率は16.3%と過去最悪を更新。この10年悪化の一途をたどっています。貧困状態にある子どもが増えている背景には非正規雇用や一人親家庭の増加があると言われています。

 

NPO法人フートバンク山梨は企業や農家などから寄贈された食品を支援が必要な家庭に無償で提供する活動を続けています。活動を始めて6年、これまで1000世帯以上を支援してきました。支援を受けるのは行政などから紹介を受けた世帯。多くは収入が生活保護の水準を下回っていますが、様々な事情から生活保護を受けていない世帯です。最近は子育て世帯が増え、支援の対象となる人の4割を子供がしめています。NPOは子供のいる269世帯を対象に実態調査にのりだしました。

 

澤村さん(仮名)は3年前に離婚しパートで働いていますが、収入は生活保護世帯を下回っています。一度は生活保護の申請を考えましたが、通勤に欠かせない車を手放さなければならず諦めたと言います。助けとなっているのがNPOから2週間に1度送られてくる6kgの米です。浮いたお金で以前はほとんど購入できなかった野菜などを買えるようになりました。しかし育ち盛りの子供たちにとっては十分とはいえません。澤村さんの場合、パートで得る収入は平均10万円。児童扶養手当などを合わせると月収は18万円ほどあります。一方、家賃や光熱費、奨学金の返済など毎月固定で出るお金は14万円。差し引くと4万円ほどで5人家族の食費をやりくりしなくてはなりません。

 

食料支援を受けてきた70世帯のアンケートによると1人当たりの1日の食費の平均は329円。食事の内容も米や麺など主食のみというケースが多く、おかずなど栄養のバランスが取れた食事を1日に1度もとっていない家庭が8割以上にのぼったと言います。さらに今回の調査で貧困が子供の体の健康だけでなく、学校生活や友人関係など社会的な基盤を揺るがしていることも分かってきました。17歳になる澤村さんの長男は中学の頃から不登校に。学校では友達が普通に楽しんでいることに参加できず、孤立することが多かったと言います。

 

始まった地域の挑戦

栃木県大田原市では2年前から子育て支援の一環として小中学校の給食費無料化に踏み切りました。一人の給食費は年間5万円。市は小中学校の子供、約6000人分の給食費2億7000万円を負担しています。多額の財源が必要となるため当初、議会では慎重な意見が相次ぎました。しかし経済的に困窮する家庭が増える中、すべての子供が安心して学び食べられる環境を作るべきだと判断したのです。結果的に保護者の多くから経済的に助かったという声が寄せられています。学校現場でも子供の心の負担を減らす効果があったと言います。これまで給食費を滞納する家庭には子供を通じて督促をせざるおえませんでしたが、その必要がなくなったからです。

 

東京都豊島区ではNPOが中心となって毎月2回地域の子供なら誰でも入れる食堂を開いています。食材は寄付や助成金でまかない調理は地域の主婦たちのボランティア。子供たちは手伝いをすると無料で食べることが出来ます。栄養バランスのとれた食事をお腹いっぱい食べられる上に、みんなで食卓を囲む楽しさを味わえる場所になっています。12歳のみきさん(仮名)は小学2年生の頃から学校に行けなくなっていました。母子家庭であることを友達にからかわれたことがきっかけでした。母親はパートで働いていますが生活は苦しく、食事は1日1食だけです。しかし、誰にも相談できず家にひきこもる日々が続いていました。そんなみきさんを変えてくれたのが子ども食堂との出会いでした。みきさんはここに来て初めて食事を一緒に食べる楽しさや地域の人たちとの繋がりを感じることが出来たと言います。みきさんは今、新たな目標を見つけ少しずつ学校に通い始めています。