メキシコ・グアダラハラ地下爆発事故|アンビリバボー

フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」でメキシコ・グアダラハラ地下爆発事故について放送されました。メキシコのグアダラハラで1992年4月22日、悲劇は幕を開けました。突然地下で連鎖的に爆発が発生。わずか3分の間に13キロに渡り道路が陥没。死者252人、負傷者1440人、1万5000人が家を失う大参事となりました。一体なぜこんな悲劇が起こってしまったのでしょうか?

 

1992年4月20日、グアダラハラでトルティーヤ店を営むソコロ・リオスは妹といつものように商売に精を出していました。ここ数日、気温は30℃を超える夏日が続いていました。そして2日程前から異臭騒ぎが起こっていました。ガス漏れを心配した彼女はすぐに点検を依頼しましたが、異常はありませんでした。彼女の店から1キロ離れた場所で、配管工が奇妙な光景を目にしていました。マンホールから何かガスが漏れ出していたのです。さらに少し離れた住宅街でも異臭が漂いはじめました。水道水から漂っていたのはガソリンのようなニオイでした。実は1983年にグアダラハラ市郊外で爆発事故が発生。数名の怪我人と38棟の建物が倒壊する事故が起こっていました。そして1991年にもマンホールが吹き飛ぶ爆発事故が起こっていました。原因は郊外にある製油所から漏れ出したガソリン。その事業者は当時世界で9番目の規模を誇る巨大石油企業A社でした。

 

住民らの通報により水道局の局員が下水道の調査を行いました。可燃性のガスが充満していることが分かりました。しかし、市は水道局の訴えを真剣に取り合おうとしませんでした。強くなる悪臭に住民たちの不安は募りました。中には自ら下水道に入り原因を特定しようとする者もいました。水道局は原因を究明すべく下水道の水を抜く一方、大量の水を投入し洗浄を行いました。深夜になっても消防や警察職員が調査を続行していました。そしてガンテ通りから1.5キロ離れた場所でマンホールの蓋が跳ね上がりました。そして翌朝になっても異臭は強まる一方で、高まる不安の声に消防本部の責任者がインタビューに応じました。消防局の本部長は異臭の原因は下水道内に蓄積しているヘキサンだと推測されると言いました。ヘキサンとは可燃性の液体で臭いや性質はガソリンに酷似しています。大豆油など食用油の抽出に利用され、グアダラハラ郊外の工場で使用されている物質でした。本部長は爆発の危険性は低く避難の必要はないと言いました。

 

しかし、爆発は起きてしまいました。2つの通りにある下水道の本管にそって街を破壊。その波は3分も経過しないうちに通りを13キロに渡って進みました。目撃者の証言によれば、すさまじい轟音の後、崩壊した道路から天高く炎が立ち上ったと言います。さらに爆発の衝撃で沿道の建物はことごとく破壊され自動車は爆風で屋根にまで吹き飛ばされました。その後も断続的に小規模な爆発が発生。約4時間半後にようやくおさまりました。死者252人、負傷者1440人、1万5000人が家を失う大惨事となりました。

 

最初の爆発から3分後にはレスキュー隊が到着。生存者の捜索、救出作業が行われました。爆発に巻き込まれたソコロ・リオスは瓦礫の下に意識を取り戻し、レスキュー隊に救出されました。悲劇は一体なぜ起きてしまったのでしょうか?

 

事故調査団がまず目をつけたのは数日前から起こっていた異臭騒ぎ。水道局がサンプルを採取し調査した結果、ヘキサンは検出されませんでした。事故調査団は製油会社A社の工場を立入検査し、驚くべき事実が判明しました。実はグアダラハラの地下にはいくつものパイプラインが存在しました。このパイプによって230キロ離れた都市までガソリンを送っていたのです。このパイプのどこかからガソリンが漏れ出していたことが判明したのです。しかし、パイプは鋼鉄製で、耐用年数から考えても穴が開くことは考えられませんでした。グアダラハラ市の地下には経済の発展とともに様々な配管がつぎ足され複雑な迷路のように重なり合っていました。その中にガソリンのパイプラインと水道管が接触している箇所があり、二つの配管の接触面に小さな穴が開いていたのです。ここからガソリンが大量に噴出。その一部が水道管に流入し異臭が漂ったのです。土の中に流れ出したガソリンは推定700万リットル。これが下水管のわずかな隙間から侵入、一部が揮発してガスとなり内部に充満していきました。ガソリンは30℃で沸点に達します。つまり30℃を超すと液体から気体になる量が急増します。連日の暑さによりガソリンは揮発しマンホールをつたって地上まで上昇。いつ着火してもおかしくない状況が生まれました。そして皮肉にも水道局や消防署の職員が調査とガスの滞留を防ぐためマンホールを開けたさい、偶然でた火花が発火の原因になったと推測されました。

 

しかし、なぜ市は避難命令を出さなかったのでしょうか?実は事故発生の8日前、A社工場で異変が起こっていました。パイプラインの圧力が低下し、ガソリンが漏えいしていると推測されました。そこでA社は技術者をグアダラハラに派遣。原因をつきとめようとしました。しかし、ガソリンが漏れている箇所は特定できませんでした。A社は非難される事を恐れバレる前に塞いでいまおうと考えていました。

A社は巨大な国営企業で収益の40%、国家予算の10%にあたる金額を政府におさめていました。そのA社がガソリン流出を公表していない中、もし避難命令を出せば彼らが非難の矢面に立たされることになります。地方自治体と州当局はA社の上級役員への配慮から避難命令を出さなかったのではないかと考える人もいます。

 

事故後、検察の検証結果から爆発への責任があるとして市長とA社役員などが逮捕されました。しかし、8ヶ月間拘留されたのち起訴されることなく釈放。裁判が開かれることもなく調査は打ち切られました。その後、A社の精油所は閉鎖されパイプラインは街から離れた場所に移されました。現在、グアダラハラの下水管にはモニターが取り付けられています。ガスが溜まっていないか常時測定され二度と同様の悲劇を繰り返さないよう対策が取られています。

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