ヘンデルの「水上の音楽」|ららら♪クラシック

NHK・Eテレの「ららら♪クラシック」でヘンデルの「水上の音楽」について放送されました。

 

イベント男の真骨頂

「水上の音楽」というタイトルは、もとは英語で「THE WATER MUSIC」と言います。実際、水の上で演奏されたためそう名付けられました。ヘンデルは大人数のオーケストラを丸ごと船に乗せようとしました。当時の新聞によれば50もの楽器をとりそろえて1時間もかかる曲を3回も演奏したと言います。屋外ではコンサートホールのような反響板がないので音は拡散してしまいます。しかも、こぎ手が12人いたため、音楽は水音にかき消されてしまいます。そこでヘンデルとその取り巻きたちは工夫をこらしまいた。注目したのは潮の満ち引き。ロンドンは河口に近く引き潮だと船は下流へ、そして満ち潮だと船は上流へ流れていきます。つまり、あまりオールを漕がなくても潮の満ち引きを利用すれば川を自在に移動できるのです。

夜8時、国王や大勢の市民の船とともに宮殿の近くを出発。夜中11時~2時の間はディナータイム。そして朝4時半に戻るという徹夜の大イベントでした。さらにヘンデルは当時のテムズ川の環境もうまく利用しました。テムズ川は護岸工事によりレンガや石の壁ができており、それを反響板のように利用したのです。おかげでイベントは大成功。国王はこの作品をとても気に入り、真夜中にも関わらず何度もアンコールしました。

 

大作曲家は腕利き工作員!?

「水上の音楽」が誕生したきっかけとしてこんな話が伝えられています。若い頃、ドイツのハノーバー候のもとで宮廷楽長をしていたヘンデルは、仕事を放りだしイギリスに渡ってしまいました。ところが4年後、イギリス女王が亡くなるとドイツからハノーバー候がやってきて新国王ジョージ1世に。ヘンデルはピンチに。そこで「水上の音楽」を新国王にプレゼントしめでたく仲直りしたと言うのです。しかし、この話は真っ赤な嘘です。実はヘンデルはある秘密の任務をおってイギリスに来たのだと言われています。

イギリスの女王には後継者がいなかったため遠い親戚にあたるハノーバー候は自分が跡継ぎに指名される可能性があると見越していました。それゆえにヘンデルをイギリスに送り込んだと言うのです。国際的な作曲家として活躍しはじめていたヘンデル。女王から一般市民にまで付き合いがありスパイにはうってつけだったのです。ヘンデルがロンドンに来てすぐさま作曲したのが「リナルド」というオペラ。危機に陥った十字軍を外国から来た英雄が救うという物語に、イギリス国民は拍手喝采をおくりました。

やがてハノーバー候はイギリス国王ジョージ1世として即位。しかし、英語をほとんど話せずイギリスの人々の支持を得ることができませんでした。そこで再びハノーバー候はヘンデルの力に頼りました。当時大人気だったヘンデルにテムズ川で新曲を発表させ集まった市民たちにジョージ1世の顔と名前を知ってもらおうとしたのです。そうして開かれたのが水上の大イベント。テムズ川はヘンデルが作った「水上の音楽」を聴こうとする人で埋め尽くされたと言います。

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