健康長寿 慢性炎症を抑える食事&微小循環&満足感|NHKスペシャル

NHK総合テレビの「NHKスペシャル」であなたもなれる”健康長寿” 徹底解明100歳の世界が放送されました。健康長寿を実現した「センテナリアン」と呼ばれる100歳高齢者たち。今、世界中の研究者がセンテナリアンに潜む健康長寿の秘密を解き明かそうとしています。明らかになってきたのは体内で密かに進む老化が様々な方法が抑えられている事実でした。

 

日本のセンテナリアンは2016年9月に発表された統計では6万5692人と過去最高を記録しています。世界全体では約45万人います。長生きが当たり前の時代になる中で、誰もが願うのが元気で長生きしたいということでしょう。今、世界中で100歳を超えても健康で長生きしている人たちの研究が進んでいて、誰でも条件次第で健康長寿を実現できる可能性があることが分かってきました。

 

田谷きみさん(101歳)の健康長寿の秘密の解明に挑んでいるのが慶応大学医学部の広瀬信義(ひろせのぶよし)特別招へい教授です。これまでに800人を超えるセンテナリアンを調査してきました。血液検査や認知機能の測定など、あらゆる角度から探っていきます。慶応大学医学部・百寿総合研究センターでは測定したデータを詳細に解析。その結果、一般高齢者とは異なる特徴が見つかりました。それは体の中で起きている炎症の度合いです。一般の人に比べて田谷きみさんの炎症レベルは10分の1、極めて低い数値であることが分かったのです。

 

炎症には2つの種類があります。1つは急性炎症。怪我をした時に腫れあがるなど、病原菌などから体を守るために起こる一時的な炎症です。もう1つは慢性炎症。誰でも加齢とともに徐々に進む炎症で、急性炎症と異なり自覚症状はほとんどありません。田谷さんはこの慢性炎症が極めて低く抑えられていたのです。慢性炎症は全ての人の健康長寿に関係があるのでしょうか?慶応大学では1500人の高齢者を最大10年間追跡調査。最新のデータがその謎に光を当てることになりました。調査では臓器の状態や代謝など、体のどの機能が寿命の長さに関係しているかを分析。その結果、唯一寿命との明確なかかわりが見られたのが慢性炎症だったのです。つまり、慢性炎症を抑えることが健康長寿に重要だと言えるのです。

 

体の中の細胞が老化すると、その細胞からサイトカインと呼ばれる炎症を引き起こす物質が分泌されます。それが周囲の細胞を老化させ、炎症が広がります。さらに、死んだ細胞からは細胞の断片や老廃物が出され、さらなる炎症の引き金になるのです。本来は免疫応答によって素早く炎症の要因を取り除く機能を持っていますが、加齢とともに免疫機能が低下し、炎症の要因を取り除く機能も悪化。結果として全身に広がっていってしまうのです。

 

慢性炎症チェック

慢性炎症度は人間ドックの血液検査で調べることができるCRPの値で知ることができます。

0.30以下:基準範囲
0.31~0.99:要注意
1.00以上:異常

 

あなたも実現できる!健康長寿

デンマークで10万組の双子の寿命を生涯に渡って追跡調査しました。調査の結果、同じ遺伝子であるにも関わらず寿命には大きな差が生じることが分かりました。寿命を決めるのは遺伝的要因が25%、環境要因が75%であることが明らかになったのです。

 

長寿地域で発見!老化を防ぐ食事

長寿地域の一つがイタリア南部のアッチャローリです。2016年、人口2000人のうち300人がセンテナリアンだと報じられ世界の研究者から注目されています。なぜセンテナリアンが多いのか、研究が進められているのがこの地域特有の食事です。オリーブやナッツなど温暖な気候で育まれた食材を使った地中海食は、この地域が発祥の地だとされています。ボローニャ大学のクラウディオ・フランチェスキー名誉教授は地中海食と長寿の関係を調べるため、大規模な研究を続けています。栄養士の指導のもと、ヨーロッパ5か国600人の高齢者に地中海食を食べ続けてもらい体に起きる変化を調査しました。1年後、血液を採取し炎症のレベルがどう変わるのかデータを集めました。すると、地中海食を適切に食べた人ほど炎症の数値が低くなることが確かめられました。地中海食に特徴的な魚、オリーブオイル、ナッツ、野菜、これらに含まれる脂肪酸やポリフェノール、リコピンなどの炎症を抑える成分が影響を与えたのではないかと専門家は見ています。ところが解析を進めた結果、意外な事実が浮かび上がってきました。慢性炎症のレベルを国別に分析すると、明らかに炎症の数値が下がってた国がある一方で、あまり効果がみられない国があったのです。特にイギリスでは炎症のレベルは変わらず、地中海食が全ての国の人に効果があるわけではないことが示されたのです。食事の効果は人種、ライフスタイル、性別など様々な要因によって違ってくることが分かったのです。

 

広西大学の李全陽(りぜんよう)教授は、中国屈指の長寿率を誇る村で調査を続けています。ここには95人のセンテナリアンが暮らしています。李教授は土地ならではの食材を食べ続けているセンテナリアンたちの体から腸内細菌の特徴を見つけました。どの地域の人とも異なるものであることが分かったのです。腸内細菌は長年摂取した食べ物によって違ってきます。同じものを食べても国によって効果が異なるのは、こうした腸内細菌が関係しているのではないかと考えられるのです。

 

長寿地域で発見!老化を防ぐ秘密

もう一つ、センテナリアンの研究から食事とは別の健康長寿の要因も注目されています。それは身体活動です。世界的な長寿地域の一つイタリア・サルデーニャ島の最大の特徴は世界一男性の長寿率が高いことです。センテナリアンの男女比は1:1です。1:9と圧倒的に女性が多い日本に比べると驚異的な比率です。なぜ男性の長寿率が高いのでしょうか?ルーヴァン・カトリック大学のミシェル・プーラン名誉教授は、この地域の男性には共通したライフスタイルがあることを見つけました。100歳に到達するまでの身体活動量の多さです。調査の結果、この地域の男性が1日に歩く距離は約8キロにのぼることが分かりました。さらに、体の肉体に大きな影響を与えているのが島独特の急こう配な地形です。豊富な活動量に加え、暮らしの中におりこまれた負荷の強い動きが健康長寿につながっているとプーラン教授は考えています。

 

身体活動量が多い長寿の人の体内を調べた結果見つかった特徴が微小循環です。微小循環は全身に張り巡らされた毛細血管の中で起きている目に見えないレベルの細かな血流のことです。細胞に必要な酸素や栄養素を送り届ける微小循環ですが、今注目されているのが溜まった老廃物を回収するという役割です。この微小循環が慢性炎症に繋がる要因を取り除き、老化のスピードを緩めている可能性が見えてきたのです。

 

最新科学が解明 老化を防ぐ心とは

ニューヨークに住むアンソニー・マンシネリさん(105歳)は93年間、ほとんど休まず仕事場に立ち続けてきました。お客さんの喜ぶ顔を見ることが自分の生きる力に繋がっているとマンシネリさんは言います。実は、こうした満足感が慢性炎症を抑えることと深い繋がりがあることが最新の科学で明らかになってきました。

カリフォルニア大学医学部のスティーブン・コール教授は、男女84人の被験者を対象に日々の幸せや人生での充実感、今の自分が好きかどうかや日常で得られる達成感など様々な満足感を聞き取る調査を実施しました。その後、調査した人たちの血液を採取し分析を進めた結果、満足感と炎症との関わりを示す遺伝子が見つかったのです。CTRA遺伝子群です。この遺伝子群は人が何らかのストレスを受けた時に働きを強めます。逆に満足感を得ると、その働きが弱まります。遺伝子の働きが緩やかになった時、慢性炎症が抑えられるという相関関係が明らかになったのです。

さらに研究を進めると、満足感の種類によっては全く違う働きをすることも分かってきました。調査した人の中には満足感を得ているにも関わらず、むしろ慢性炎症が進んでしまうケースがあったのです。炎症を抑える満足感と、炎症を進めてしまう満足感、その違いはどこにあるのでしょうか?「食べたいだけ食べる」「むやみに買い物をする」などは快楽型と呼ばれ自分の欲求を満たすことで生じる満足感で、炎症を進めてしまいます。一方、炎症を抑えていたのはボランティア活動や家族を大切にする、世のために働く、アート作品を発表するなどは「生きがい型」と呼ばれる満足感です。

 

健康長寿の先に老年的超越とは

センテナリアンの多くが「老年的超越」と呼ばれる独特の心境に達していることが分かってきました。高齢者2200人を対象にした調査によると、人は70歳を過ぎると年とともに身体機能は衰えていきますが、それにも関わらず80歳を超えたあたりから今の暮らしを肯定的にとらえる感情が高まり続けていたのです。人間の感情を司る前帯状皮質は年をとっても衰えないことが分かりました。記憶力や判断力が衰える中、この部位は機能し続け人間の感情は最後まで保たれます。良い印象の写真と悪い印象の写真を高齢者と若者に見てもらいその違いを調査したところ、若者は良い印象の写真も悪い印象の写真も同じように記憶しましたが、高齢者は良い印象の写真をよく記憶し悪い印象の写真は記憶しないという傾向があらわれました。

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