韓国加湿器用殺菌剤事件|ザ!世界仰天ニュース

日本テレビの「ザ!世界仰天ニュース」で韓国加湿器用殺菌剤事件について放送されました。2016年、韓国のニュースに世界中が衝撃を受けました。政府認定の被害者221人、死者95人、その原因は加湿器用の殺菌剤でした。

 

韓国の冬は寒く湿度も低いため、ほとんどの家ではオンドルという床暖房が設備され、家の中は特に乾燥しやすいです。そのため加湿器を使用する家がほとんどです。2009年、韓国・大田(テジョン)に住むイ・ヘヨンの家族も加湿器を使っていました。長女イェヨンはよく加湿器から出て来る霧で遊んでいましたが、イ・ヘヨンは気になることがありました。それはある広告に「加湿器は1日で100倍以上に細菌が増殖。それを防ぐには加湿器用の殺菌剤がいい」と書かれていたからです。加湿器には一般的にスチーム式や超音波式があります。スチーム式は沸騰させ蒸気を出すため殺菌されますが、超音波式は水を霧状で出すだけなので菌をそのまま放出することがあります。韓国では価格が安く加湿効果が高い超音波式が人気でした。そんな時、スーパーで目にしたのが加湿器用の殺菌剤でした。水の中に入れるだけで、ばい菌から子どもを守れると加湿器用殺菌剤は韓国では人気がありました。

異変が現れたのは殺菌剤購入から2か月後でした。夫と長女が咳をするようになったのです。娘の容態は悪化し病院へ。検査の結果、間質性肺炎であることが分かりました。間質性肺炎とは肺胞の周りの間質が炎症し、やがて線維化して固くなってしまう病気です。通常、肺胞では酸素と二酸化炭素の交換を行いますが、肺胞壁が硬くなると広がらなくなり、酸素と二酸化炭素の交換ができなくなってしまうため呼吸困難になります。一度線維化した細胞は元には戻らず、原因が特定できない間質性肺炎の場合、5年生存率は30%と言われています。間質性肺炎にかかるのは多くが高齢者です。学会でも幼児の発症例はほとんどありませんでした。それにも関わらず病院では2006年から間質性肺炎の幼い患者が相次いでいたのです。さらに20か所以上の病院を調べると幼児の間質性肺炎患者は78人(2008~2009年)、そのうち36人も亡くなっていたのです。患者は毎年11月~5月の寒い時期だけでした。しかし、この時は加湿器用の殺菌剤など疑うはずもありませんでした。医師は患者のデータを集め、国に全国的な調査を依頼しました。しかし、新型のウイルス感染ではないということで国は調査に動いてくれなかったのです。

こうして何も解決されないまま2010年に。イェヨンも発症してしまったのです。すでにイェヨンの肺は線維化し酸素を補給し続けなければならない状態でした。殺菌剤を使ってわずか2ヶ月で、イェヨンの肺は半分以上が線維化し固まっていました。すぐにステロイド剤が投与され治療が開始されました。しかし、薬の効果は全く見られず入院してからわずか2日後にイェヨンは亡くなりました。2歳10ヶ月、あまりにも短い命でした。

原因を突き止めるため、他の患者から損傷した肺の組織を採取して調べました。その結果、どの患者も気管支周辺に炎症があることが分かりました。何か炎症作用のある化学物質を吸い込んだと思われました。しかし、加湿器用殺菌剤だとは分かりませんでした。

2010年9月、長女の死で悲しみに暮れていた家族に新たな命が宿りました。しかし、冬を迎えるとイ・ヘンヨにも異変が現れました。そして検査の結果、間質性肺炎であることが判明。この年、妊婦の間質性肺炎の患者が急増しました。

2011年4月11日、イ・ヘヨンは呼吸が苦しい中、命がけの出産にのぞみました。無事出産したものの、イ・ヘヨンの肺は限界でした。一方、医師には大きな疑問が。ただでさえ稀な病気が同じ一家の中で発生したことです。これにより1つの仮説が。間質性肺炎患者の家族を検査したところ、ほぼ全員に同じような肺の損傷が見つかったのです。つまり感染場所は家庭内だと考えられたのです。

2011年4月、ようやく国が原因究明に乗り出しました。全国的に患者の家が調べられました。壁紙を貼る塗料、ペット、ダニ、香水、植物など被害者の家に共通のものはないか調べましたが、加湿器には辿り着きませんでした。

2011年7月、奇跡的にドナーが見つかりイ・ヘヨンは肺の移植手術を受けることが出来ました。そして2011年8月、被害者のどの家も冬の間、加湿器に殺菌剤を使っていたことが分かりました。成分を調べた結果、ついに原因と思われる化学物質を発見しました。それはPHMG(ポリヘキサメチレングアニジン)という物質でした。PHMGは農薬や工場の消毒剤として使用され、殺菌効果が高い物質です。皮膚などに触れるのは問題ありませんが体内に入ると害を及ぼします。それがなぜ加湿器用の殺菌剤として使われたのでしょうか?そこには信じられない企業体質がありました。

1995年にオキシー・レキットベンキーザーが加湿器用殺菌剤を開発。この時はまだ問題のPHMGの成分は入っていませんでした。ところが2000年頃、オキシー社の加湿器用殺菌剤に消費者から多くのクレームが入るように。それは水タンクに浮遊物質が発生するというもの。それをうけオキシー社は水に溶けやすく殺菌効果の高いPHMGを使った加湿器用殺菌剤を作り始めました。もともとPHMGはカーペットなどの抗菌剤として国への申請が行われ認可がおりていました。皮膚への毒性実験でも肌に触れても害はありませんでした。当時の韓国の法律では一度審査で合格すると、その後用途を変えても再審査を受ける義務がありませんでした。そのため何のハードルもなく加湿器用殺菌剤に転用されてしまったのです。しかも、商品には「人体に安全」の文字が大きく表示されました。水の中にこの殺菌剤を適量入れるだけでバイ菌から守れると人気を得て、オキシー社の殺菌剤は大ヒット。それを真似るように各社も安全性を確かめずにPHMG入りの殺菌剤を販売しました。11年間にわたり、毒入りの殺菌剤は推定800万個以上も売れました。

2011年8月31日、ようやく謎の間質性肺炎の原因が加湿器用の殺菌剤だと分かりました。しかし、詳しい成分までは分からなかったため販売や使用の自制を勧告するにとどまりました。その後、国は動物を使ってPHMGの吸入実験を行うと肺に同じような影響が出ました。これでようやく2011年11月、加湿器用殺菌剤の回収命令が出されました。被害者たちは商品を認可した国に責任があると賠償請求を訴えましたが、国側に責任はないと主張。やがて検察によりPHMGを殺菌剤に使うことになった経緯が見えてきました。

浮遊物質のクレームを受けたオキシー社は、加湿器用殺菌剤の新たな成分を開発することに。そんな時、PHMGの販売元であるSKケミカルの仲介会社CDIがオキシー社に売り込みにきました。オキシー社は水に溶けやすく殺菌効果の高いPHMGを使用することに決定。下請け会社ハンビット化学に製造を依頼しました。

「仲介会社を挟んでいるのでオキシー社の殺菌剤にPHMGが使用されているとは知らなかった」(SKケミカル)
「PHMGが危険物質だと販売元から聞いていない」(オキシー社)

国も企業も一切非を認めず、責任のたらい回しに。日本ではPHMGを含む加湿器用殺菌剤の流通は確認されていません。一部家庭用製品にPHMGが使用されていますが、ごく微量なため皮膚についたり誤って飲み込んだりしても代謝・分解され人体に影響はありません。

1番売り上げが多かったオキシー社は、独自に吸入毒性検査を行った結果、製品の成分が原因とはいえず、黄砂やカビなどが原因の可能性もあると反論。しかし、この検査内容はとんでもないものでした。企業側に処罰が下りたのは安全だと虚偽の報告をした件によるもの。その金額はオキシー社500万円、ホープムラス約10万円、バタフライエフェクト約10万円、ロッテマートとグローエンエムには警告処置だけと、とんでもなく軽いものでした。

被害者団体によると死者は701人にもなると言います。しかも莫大な手術費や治療費のほとんどは自己負担。中には1億円近い支払いに追われている被害者もいると言います。そして2016年、さらなる疑惑が浮上しました。それはオキシー社の毒性検査で大学教授が検証結果をねつ造していたというもの。教授は研究費の名目で約2300万円を手にし、他にも口止め料を受け取った疑惑がもたれています。こうしてようやくオキシー社の元代表と幹部が業務上過失致死および表示告知の公正化に関する違反の容疑で逮捕されました。販売禁止から5年、ようやくオキシー社が謝罪しました。

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