団塊世代 しのび寄る老後破産|NHKスペシャル

NHK総合テレビの「NHKスペシャル」老人漂流社会で団塊世代 しのび寄る老後破産が放送されました。戦後の日本社会を背負ってきた団塊の世代(1947~1951年生まれ)は約1000万人います。8割はサラリーマンで高度経済成長の屋台骨を支えてきました。今、65歳~69歳と老後をむかえています。戦後5年間続いたベビーブーム。人口の1割近くを占め大きな影響力を持ち続けてきました。一億総中流の時代を築いた団塊世代は経済的に余裕のある世代だと思われてきました。しかし、老後をむかえた団塊世代は厳しい現実に直面しています。むしろ経済的にリスクを抱えていることが分かったのです。内閣府の調査では団塊世代は豊かな世代だと言い切れないことが明らかになりました。さらに団塊世代は二重のリスクを抱えていることも分かってきました。国の調査では介護が必要な親がいる団塊世代は28.7%。一方、経済的な支援が必要な子どもがいる人は31.7%にのぼっています。

 

団塊世代は人口約1000万人。その世代の特徴づけるのが上の世代と下の世代の板挟みになっているということです。団塊世代の子供たち団塊ジュニア世代は第二次ベビーブームに生まれた約790万人。就職氷河期に直面し非正規雇用の割合が3割、収入が不安定な人が拡大した世代です。一方、親の世代は約130万人。長寿となり介護の負担が長く続く人も少なくありません。団塊の世代は板挟みの状態で2つの世代を支えているのです。

 

河口晃さん(69歳)は一人で暮らしながら家族のことを気にかけています。遠方の介護施設で暮らす97歳の母親と、都内に暮らす39歳の息子。2人を支えたくてもその余裕はありません。河口さんの年金は月14万円余り。去年、高血圧と診断され医療費が7000円かかるようになりました。家賃や医療費を払うと家計は赤字です。福岡で生まれ育った河口さんは、高校卒業後仕事を求めて上京してきました。上京した後、河口さんは大手運送会社に就職。運転手から営業の仕事までこなしていました。20代の頃に結婚し、子どもにも恵まれ年収が1000万円を超える時もありました。この頃は老後生活に困るとは思っていませんでした。しかし、残業続きで家庭を顧みることがなく43歳で離婚。その後正社員の仕事を辞め非正規の仕事を転々としました。貯金する余裕はありませんでした。団塊世代の中には老後の貯えを十分に築けなかった人が少なくありません。内閣府の調査では貯蓄が100万円未満と回答した人が20%にのぼっています。世代別の賃金を比べると、団塊世代より上の世代は退職まで賃金が上がり続けます。ところが団塊世代は40代半ばでバブル崩壊に直面。その後、賃金が下がり続けているのです。河口さんは今、預金がほとんどありません。

「全部が想定外。40代50代に描いていたものとは全部どんでん返しされたみたいなね」

仕事を探している39歳の息子とは2ヶ月に1度、電話で話す程度です。母親は横浜市の介護施設で暮らしています。97歳になる河口ヨシ子さんは介護施設の費用を払うと年金は手元に残りません。少しでも母親に仕送りをしたくても河口さんには余裕がありません。河口さんは65歳から新たな仕事を始めました。病院の運転手の仕事で時給1000円。団塊世代の67.7%は河口さんのように年金だけでは暮らしていけず働き続けています。横浜の介護施設にいる母親のもとに通うには1回5000円程かかります。毎月、片道2時間半かけて母親の介護施設に通っています。

 

35歳~44歳で親と同居している子供は308万人にのぼります。このうち失業や日雇いなどで経済的に親に依存している人は62万人。非正規雇用など収入が不安定な人を合わせると113万人にのぼっています。

 

新美吉春さん(67歳)と妻のけい子さん(67歳)の収入は年金と吉春さんの給料15万円を合わせて月37万円です。けい子さんの母あいかさん(89歳)と3年前まで3人で暮らしていました。けい子さんはこのまま穏やかな老後が続くと思っていました。吉春さんとけい子さんは23歳で結婚。当時憧れだった団地で暮らし、子どもにも恵まれました。マイカーを購入し休日には家族でレジャーを楽しむ典型的なサラリーマン家庭でした。2人の息子は独立し、それぞれの家庭を築きました。孫にも恵まれ老後に不安はないと思っていました。しかし2年前、想定外の出来事が起こりました。妻を亡くした息子・司さん(36歳)が親を頼って同居することになったのです。司さんには2人の子どもがいます。洗濯から食事の世話までけい子さんが孫の面倒をみています。司さんは今、収入がほとんどないため生活費も両親に頼っています。司さんは去年、知り合いを頼って葬儀用の生花を卸す仕事を始めたばかりです。いずれ安定した収入を得て両親を支えたいと思っていますが、今は子どもにかかる費用も親に出してもらっています。さらに重い負担となったのは母あいかさんの介護です。あいかさんは認知症が重くなり身の回りのことが出来なくなっていきました。心臓の持病もあり11種類の薬を飲まなくてはいけません。週に4日デイサービスを利用し施設に預けています。医療と介護にかかる費用は月3万2000円。あいかさんの年金3万円では足りず生活費も夫婦が支えています。最も大きな負担となったのが家を広く改築するためのローンでした。返済額は月9万9000円。79歳11ヶ月まで13年間払い続けなくてはなりません。生活費の負担も大幅に増えました。水道、ガス、電気など光熱費は月5万円にのぼります。切りつめても食費は月に15万円かかります。収入が37万円あってもローンや光熱費などの出費がかさみ支出は47万円程。毎月10万円の赤字続きです。吉春さんの預金は200万円程。このまま取り崩していくと2年で底をつきます。吉春さんはバブル経済が崩壊した頃、転職せざるおえなくなり退職金もありませんでした。団塊世代が老後の貯えを築けなかった原因の一つがリストラです。バブル崩壊前はほとんどありませんが、40代でバブル崩壊に直面。その後、増加しました。50代で最も多くリストラされ10人に1人が仕事を失いました。吉春さんは葬儀場で仕出しを扱う仕事をしていますが、最近フルタイムの仕事は体力的に厳しいと感じています。

 

青山政司さん(68歳)は6年前に妻を亡くし、母親を一人で介護しています。91歳になる母・千代さんは足腰も弱ってきたため食事や着替えなどの身の回りの世話は全て青山さんが担っています。青山さんは年金だけでは暮らしていけず預金を取り崩しています。これまでに貯めた預金は2000万円。老後を暮らすには十分だと思っていました。しかし実際は厳しい暮らしが待ち受けていました。40代まで自営業をしていた青山さんの年金は月額8万円。食費は1日500円におさえ、1パック数百円の惣菜を小分けにして食べています。夫婦で自営業を営んできた千代さんは年金保険料を納める余裕がなかったため年金がありません。団塊世代の親は半数が農家や自営業者。低年金や無年金の人も少なくありません。青山さんは毎朝30分、訪問介護のサービスを利用しています。さらに施設に預けるデイサービスも週に2回利用しています。介護サービスにかかる費用は月2万2000円。以前は朝晩2回、訪問介護ヘルパーを頼んでいたため毎月3万円程かかっていました。しかし、これ以上預金が減っていくことを恐れサービスを減らしました。青山さんの収入は年金8万円ですが、医療・介護の費用などを支払うと支出は15万円。毎月7万円の赤字です。5年間続いた介護の負担で、預金はすでに400万円とり崩しています。赤字を補うため働いて収入を得たいと思っても、仕事に出ることができません。重い認知症を患う千代さんから目が離せないためです。千代さんは度々外に出て徘徊することがあります。自分の老後の貯えがこのままではなくなってしまうのではないかと不安を募らせています。

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