セルロースナノファイバー 鉄より強い最強の植物素材|夢の扉+

TBSテレビの「夢の扉+(ゆめのとびらプラス)」で鉄より強い最強の植物素材について放送されました。日本の国土の7割を覆う森林。そんなどこにでもある植物から世界が驚く新素材が生まれました。それは植物なのに鋼鉄よりも強く、強度は飛行機の機体にも使えるほど。さらに鉄より強いにも関わらず透明に。この素材を使えば将来、家電や日用品が植物からできるかも知れません。その可能性には国も注目しています。プラスチックの材料である石油はいつか枯渇します。一方、この素材の材料は木はもちろん雑草や葉っぱでもいいため永遠に枯渇することがないのです。この最強の植物素材は日本を資源大国にする可能性を秘めています。開発したのは木をこよなく愛する京都大学生存圏研究所教授の矢野浩之(やのひろゆき)さんです。

 

この植物素材の秘密は植物の骨格にあたるセルロースにあります。このおかげで木はどんな形に育っても折れたりすることがありません。矢野浩之さんはセルロースだけを集めて圧縮することで、とてつもなく強い素材を生み出すことに成功しました。

 

矢野浩之さんは子供の頃から森が遊び場だったと言います。だから大好きな木の研究者になったのも自然なことでした。28歳の頃、そんな植物への探究心をいかして作ったのが音が良いバイオリン。音の反響が良くない要因の一つは木の繊維がバラバラであること。そこで矢野浩之さんはこれらの繊維を薬剤でつなぎ合わせる技術を開発。普通の木を反響の良い高音質のバイオリンに生まれ変わらせたのです。そのバイオリンは予想以上の反響を呼びました。ところが周りの評判とは逆に矢野さんの心は晴れませんでした。独特の感性で木の思いに心を寄せていたからです。新たな木の研究テーマを探しながら悶々とした日々を送っていたある台風の日、激しい風に揺られても立ち続ける大木の姿に矢野さんはハッとしました。「木は楽器になることだけが幸せじゃない、もっと木の本当の思いがあるはずだ」と思ったのです。そこで矢野さんは自然の木が持つ本来の力をいかすため新しい素材を開発しようと決めました。

 

木の強さはセルロースのおかげです。このセルロースの力をいかすためには周りにある物質をどう取り除くかが鍵です。そこで矢野さんはセルロースを水で攪拌し周りの物質を取り除き、さらに小さく小さくナノレベルまでほどいでいきました。そうしてほどけたセルロースナノファイバーのサイズは10ナノメートル。矢野さんはセルロースナノファイバーだけを隙間なく並べ強力に圧縮しシートを作りました。それらを何層にも重ねさらに圧縮。こうして開発を始めて4年、鋼鉄よりも強い最強の植物素材が産声を上げました。そして、この最強の植物素材を世に出すチャンスが訪れました。所属する京都大学と民間企業が共同で進める新素材の開発プロジェクトに参加する機会を得たのです。参加企業が植物なのに鉄よりも強い不思議な素材に興味を示しました。そしてこの植物素材を透明にできないかと提案されました。もしそれが出来ればガラスに代わる無限の可能性を秘めたディスプレイを作れると企業は考えたのです。矢野さんはこの無理難題に仲間たちと共に挑みました。そして念願の植物生まれのディスプレイ材料が形になりました。今年になって透明シートは薄さ50分の1ミリというセルロースナノファイバーシートに進化をとげました。このシートは大きさも無限大に加工でき、非常に薄いため折りたためるディスプレイになるそうです。