THE 放射能 人間VS.放射線 科学はどこまで迫れるか?|NNNドキュメント’16

日本テレビの「NNNドキュメント’16」でTHE 放射能 人間VS.放射線 科学はどこまで迫れるか?が放送されました。第二次大戦後、アメリカは爆心地の近くで人間はどこまで戦えるのか人体実験をしていました。その数25万とも言われるアトミックソルジャー。アメリカ政府が責任を認め兵士たちに賠償するまで40年かかりました。またチェルノブイリ原発事故で多発した子供たちの甲状腺がんが放射能が原因だと認められるまで20年の歳月がかかりました。5年前に起きた東電福島第一原発事故。100ミリシーベルト以下の低線量被ばくを受けた作業員たちも病魔に襲われています。

 

1ベクレルは1秒間に1本の放射線を出す放射能の単位です。放射線は音もなくニオイもなく目にも見えません。しかし霧箱を使うと放射線の軌跡を見る事ができます。例えば食品の上限である1kg当たり99ベクレルの食べ物を1kg食べると体を1秒間に99本の放射線が貫きます。放射線は1分間に約6000本、1日で855万本、体内に取り込まれたセシウムの生物学的半減期は大人で70日。その間にガンマ線が細胞やDNAに傷をつけます。またアルファ線やベータ線は内部被ばくでより強力な影響を与えるのです。

 

福島第一原発事故では90万テラベクレルという気の遠くなるような放射能の量が環境中に放出されました。茅野政道さんによると放射能は広く東日本を覆ったと言います。陸側に約3割、7割が海側に流れました。3月14日に南へと向きを変え関東に到達したプルームは一転北上、福島中通りを縦断し汚染しました。その後、3月20日未明に南に流れたプルームは再び関東へ。そこから大きく2周して関東を襲いました。雨によって千葉県北部などにホットスポットができたのです。注目すべきは3月15日に東京を襲った放射性プルーム。元京都大学原子炉実験所の小出裕章さんは東京台東区で採取した空気中のチリを独自に分析していました。同じ日、駒沢周辺で放射能を測定していたのは都立産業技術研究センターです。吸入摂取量はピークだった午前10時に合計1100ベクレルだったと言います。屋外にいた人は1時間に1100ベクレルを吸い込んだということになります。

 

事故直後の3月15日、東京でもヨウ素131とともにテルル132という聞きなれない物質が大量に検出されました。テルル132の半減期は3日です。ベータ線を出し、さらにガンマ線を出してヨウ素132に改変します。こうした放射線のヨウ素が体内に大量に取り込まれると甲状腺がんの原因になると言われています。では人間が放射線を浴びると一体どうなるのでしょうか?人間の細胞には傷ついた時に修復する機能があります。細胞内の酵素が働き傷ついた部分を取り除き遺伝情報を修復するのです。ところが修復に失敗すると間違った遺伝情報が引き継がれがんに変化する引き金となってしまうのです。ヨウ素が取り込まれる経路は食べ物と呼吸の2つ。今回、国は牛乳などに摂取制限をかけたことから食べ物からの摂取は少なかったとみられます。

 

震災後、北海道から福島へ何度もかけつけた医師がいます。放射線治療が専門の北海道がんセンターの西尾正道さんです。西尾さんは内部被ばくの危険性を訴え続けています。西尾さんによると、発がんになった人の8割は小線源治療だそうです。小線源治療とはがんに線源を埋め込み放射線でがんを殺す治療法。まさに内部被ばくの原理です。ヨウ素がガンマ線と共に出すベータ線は体内では2mmほどしか飛びません。狭い範囲を集中的に被ばくさせます。西尾さんは内部被ばくこそ放射線の影響の確信だと主張します。

 

事故後、福島県では小児甲状腺がん多発の懸念を払拭するため健診が実施されています。これまでに甲状腺がんと確定した人は116人、疑いのある人は50人います。この数字をめぐって専門家の間では大きく意見が割れています。福島県の県民健康調査検討委員会は「放射線の影響とは考えにくい」としています。一方、放射能が原因と主張するのは岡山大学の津田敏秀さんです。津田さんの論文には賛否両方の反響が寄せられ疫学の国際学会が日本政府にさらなる調査を求める展開となっています。

 

原発事故後の2011年5月、琉球大学の研究者たちが福島に入り144匹のヤマトシジミを採集し正常な個体と交配させ2358匹の幼虫が生まれました。すると幼虫が死んだり、さなぎが出てこないということがあったと言います。続いて沖縄のヤマトシジミの幼虫に福島の汚染したエサを食べさせたところ、死ぬものや形態異常が多発したそうです。さらに形態の異常と放射線の関係を調べるため、人工的にヤマトシジミの卵や幼虫に照射実験を行いました。その結果、明らかに形態異常が増えました。

 

原発事故でのサルへの放射線影響調査は世界で初めてとなります。対象にしたのは福島市周辺の群れです。個体のセシウム蓄積レベルが高くなればなるほど白血球数が減少するという関係が認められたそうです。とりわけ2歳以下の子ザルたちで白血球数の大幅な減少がみられたと言います。

 

では人間が放射線を浴びると一体どうなるのでしょうか?福島第一原発事故では急性被ばくによる死者は一人も出ませんでした。しかし問題となっているのは低線量の被ばくです。福島第一原発で復旧作業に従事した作業員たちは被ばく線量が100ミリシーベルト以下でも体の不調を訴える人が出ています。Aさん(49歳・被ばく線量50ミリ)は腎臓、心臓が悪くなったと言います。Bさん(53歳・被ばく線量56ミリ)は胃がんと大腸がん、白内障になったと言います。Cさん(41歳・被ばく線量19.8ミリ)は白血病になったと言います。福島第一原発の復旧作業にあたった人で労災申請をした人はこれまで8人。認定されたのはCさんただ一人です。ICRP(国際放射線防護委員会)は低線量でも発がんのしきい値はないというモデルを採用しています。しかし日本ではこの点が極めて曖昧にされています。厚生労働省によると100ミリシーベルト未満の低線量による放射線の影響は科学的に確かめることができないほど小さなもの、文部科学省は放射線によるがんのリスクの上昇は確認されいないとしています。放射線医学総合研究所は明確なリスクの増加は観察されていないとしています。専門家の間でも意見が分かれているのです。

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