ジャイアントインパクト|サイエンスZERO

NHK・Eテレの「サイエンスZERO(サイエンスゼロ)」で惑星誕生!ジャイアントインパクトが放送されました。

 

惑星誕生のプロセスが判明!

東京工業大学生命科学研究所の玄田英典さんはジャイアントインパクトを詳細にシミュレーションしました。玄田さんは現在の岩石惑星を合わせた質量と同じになる16個の原始惑星を太陽の周りに配置。衝突、合体を繰り返す様子をシミュレーションしました。すると最終的に4つの惑星が誕生しました。これが現在の水星、金星、地球、火星です。玄田さんはこのシミュレーションの設定を少しずつ変えて繰り返し行いました。その結果、衝突は中心部分で起きやすいことが分かりました。そして、どの条件でも両端が小さく、真ん中が大きい現在の岩石惑星の姿になることが分かったのです。原始惑星が集まる中心部分では、ある原始惑星の軌道がズレた時、その両側に原始惑星があるため衝突する確率が高くなります。そして合体によって少し大きくなった原始惑星は重力も大きくなります。そのため周りの原始惑星が引き寄せられやすくなり衝突が繰り返し起こるのです。このシミュレーションから原始惑星が集まる中心部分で5回程度、ジャイアントインパクトが起こり地球が誕生したことが明らかになりました。一方、原始惑星の両端では軌道がズレたとしても原始惑星は片側しかないので衝突は起こりにくくなります。そのため水星や火星はあまり大きく成長しませんでした。こうして4つの惑星が作られたと考えられるのです。

 

冥王星にもジャイアントインパクトの痕跡!?

2015年7月、探査機ニューホライズンズが最接近した冥王星。初めてその詳細な画像が撮影されました。中でも注目を集めたのが赤道付近に見られる白いハート。そして、そのすぐ横にある茶色い模様。研究者たちが「クジラ」と呼んでいる部分です。このクジラこそが冥王星でジャイアントインパクトが起こった証拠だと考えている研究者が東京大学大学院理学系研究科の関根康人さんです。関根さんはクジラ模様の色に注目しました。関根さんは冥王星の表面で有機物が化学反応を起こし茶色いクジラ模様になったと考え再現実験を行いました。用意したのはアンモニアとホルムアルデヒド(有機物)です。冥王星の周りの天体に沢山ある物質です。これをオーブンで加熱。50℃で1ヶ月加熱するとクジラ模様のように茶色くなりました。この実験から冥王星のクジラのように茶色い有機物が作られる温度と時間を導き出しました。冥王星のクジラ模様は、かつてそこに大規模に加熱された液体の海があり、その中で有機物の重合が起き、それが固まった結果クジラ模様として見えているのではないかと考えています。冥王星の表面温度は-200℃以下です。そこから50℃まで1ヶ月に渡って温度が上がるような現象はジャイアントインパクト以外にないと関根さんは考えています。

 

カイパーベルトでジャイアントインパクト!?

太陽系が誕生した頃、カイパーベルトでジャイアントインパクトは起きていたのでしょうか?2015年に大きな発見をしたのが国立天文台ハワイ観測所のセイン・キュリー研究員です。キュリーさんが注目したのは地球から近い距離にある太陽によく似た恒星です。キュリーさんはが狙ったのは生まれたばかりの星がひしめくケンタウルス座の領域にある恒星HD115600です。誕生して1700万年。45億歳の太陽に比べると、まだ生まれたばかりの星です。そして恒星からある程度離れた場所に小さな天体が円盤状にひしめいていることが分かりました。しかも円盤の大きさは太陽系のカイパーベルトとほぼ同じ。つまり太陽系が誕生した頃のカイパーベルトを見ているようなものなのです。そして小さな天体の数は太陽系のカイパーベルトの10万倍もあることが分かりました。昔の太陽系にも惑星の材料となる天体が大量にあった可能性が出てきたのです。

 

ジャイアントインパクトが惑星の環境を決める!

現在の地球の環境にもジャイアントインパクトが関係していると言います。そのカギを握るのが自転軸の傾き。惑星が自転する傾きはジャイアントインパクトによって決まるのです。地球の自転軸は23.4°です。この傾きによって夏は日照時間が長く、冬は日照時間が短いという季節の変化が起きます。では他の惑星はどうでしょうか?太陽系の惑星のうち自転軸の傾きに特徴がみられるのが金星と天王星です。金星の自転軸は177°です。金星ではどこでも光の当たり方が一年中同じになります。そのためずっと同じ気候という変化に乏しい環境になります。一方、天王星の自転軸は98°です。この場合、夏の間は一日中太陽光が当たり続け、冬の間は一日中日が当たらないという極端な気候になります。地球に現在のように適度に傾いた自転軸をもたらしたのはどんなジャイアントインパクトだったのでしょうか?玄田さんのシミュレーションによると、最初の衝突で自転軸は63°まで傾きました。2回目の衝突では、ほぼ同じ角度のまま。3回目の衝突では完全な横倒しに。そして4回目の衝突でほぼ現在の傾きに。5回目の衝突で微妙に角度が変わり現在の23.4°という傾きになったのです。

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