フルーツハンター 未知の果物を探せ|地球ドラマチック

NHK・Eテレの「地球ドラマチック」でフルーツハンター~未知の果物を探せ~が放送されました。多くの人々にとって果物は日常的な食料品にすぎないかもしれません。しかし果物の世界に果てしないロマンを抱く人もいます。フルーツハンターと呼ばれる人々です。しかし今、果物は危機にさらされています。品種の単一化が進んだため病気や害虫などによって壊滅的な打撃を受ける可能性が高まっているのです。こうした危機を避けるには果物の世界に多様性を取り戻すしかありません。

 

果物と人間 深い関係

果物は人間を含む動物を魅了するのには理由があります。果物は種子植物の生殖器官の一部であり、種をまきちらすための手段です。果物はニオイや形、色などで動物を惹きつけるのは食べられるためです。動物が果物を食べ、遠い場所で種を排泄すれば植物の遺伝子が広い範囲に拡散します。私たちは果物を食べたい、果物は私たちに食べられたい、いわば相思相愛の関係です。そんな果物と人間の深い関係は遥か昔までさかのぼります。果物の存在は人類に一つの進化をもたらしました。人間の目は果物を見つけるためジャングルの中で緑と赤を区別できるようになったと考えられています。この進化は人間が自らの手で果物を栽培するようになるまで続きました。農業の発達により果物は今では簡単に手に入るようになりました。もはや野生の果物を探しに行く必要はありません。しかし多様性は失われました。現代の果物は長期保存と長距離輸送に耐えられるよう品種改良されています。味ではなく経済的な効率のためです。

 

世界一の生産量バナナ

外国の果物はかつては支配者階級しか食べることができませんでしたが、今では誰もが気軽に遠い国々でとれた果物を味わうことができます。様々な果物の中でも特に多くの人々が食べているのがバナナです。全世界の生産量は毎年1億トン以上。果物の中ではトップです。安くて栄養豊富なバナナを誰もが食べられるようになったのは品種改良が行われたおかげです。野生のバナナは硬い種が沢山ありあまり美味しいものではありません。私たちの祖先は何世代もかけてバナナをなめらかで甘い果物に作りかえてきたのです。改良して種をなくしたためバナナは株を植えて栽培します。品種改良されたバナナは全世界で食べられるようになりました。熱帯の国々では19世紀から大規模農園で栽培が行われ、輸送と販売は世界的な産業へと発展していきました。バナナは梱包され検疫され熟すタイミングをみはからって世界各地へと運ばれていきます。流通システムが確立したことで栄養があり値段も安いバナナが世界中で供給されるようになりました。しかしそこには大きな落とし穴が潜んでいるかもしれません。

 

食卓からバナナが消える?

スーパーマーケットで一般的に買えるバナナはキャベンディッシュという品種です。熟す前に収穫すれば15日以上持ちます。しかしこのような単一栽培はとても危険な生産方法です。キャベンディッシュバナナは今や世界中で食べられていますが、それは比較的最近のことで、以前は別のバナナが食べられていました。1800年代に見つかったグロスミシェルという品種です。美味しい上に長持ちするため世界中で食べられるようになりました。しかしパナマ病と呼ばれるバナナの伝染病がはやり始め1960年代には世界中のグロスミシェルがほぼ壊滅しました。キャベンディッシュはパナマ病に感染しなかったためバナナ産業の新たな中心となったのです。そして今、新たな危機が迫っています。キャベンディッシュは新型のパナマ病に弱いことが分かったのです。アジアとオーストラリアではすでに新型パナマ病が猛威をふるっています。単一栽培は経済的には大きなメリットがありますが、多様性を失うことは取り返しのつかない代償を払う危険性があるのです。

 

果物の多様性を守れ!

アメリカ・フロリダ州にあるフェアチャイルド熱帯植物園は果物の多様性を守る砦です。創設者のデービッド・フェアチャイルドはアメリカ農務省に勤めていた伝説的なフルーツハンターです。1900年前後に世界中を旅して何百もの新種の植物を持ち帰りました。今では一般的になったマンゴーやネクタリン、さくらんぼなどを広めたのもフェアチャイルドでした。

 

バナナを絶滅から救え!

ホンジュラス農業研究財団では新型パナマ病に耐性のあるバナナを作り出そうとしています。目標は人工授粉を繰り返し新型パナマ病に耐性のある新しい品種を作り出すことです。交配に使うのは病気に強い上に味や香りの良いバナナがなる木です。キャベンディッシュには生殖能力がほとんどありません。だから種がないのです。しかし花が咲いている頃に十分に肥料をあげれば普通は種ができないキャベンディッシュバナナでもごく稀に種ができる可能性があります。1000房のバナナを潰して、小さな種がようやく1個見つかる程度です。以前はキャベンディッシュバナナは生殖が不可能だと考えられていました。キャベンディッシュは挿し木という技術によって栽培されてきました。

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