ニュートリノ振動に迫る!|サイエンスZERO

NHK・Eテレの「サイエンスZERO(サイエンスゼロ)」で祝!ノーベル賞②梶田隆章さん特別出演!ニュートリノ振動に迫る!が放送されました。今年、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章(かじたたかあき)さん。受賞理由はニュートリノに質量があることを示すニュートリノ振動を発見したこと。12年に及ぶ膨大なデータの蓄積から素粒子物理学の常識を揺るがす大発見に至りました。

 

ニュートリノっていったい何!?

私たちの身の回りのあらゆるモノは原子という極小の粒で出来ています。その大きさは直径1億分の1cm。その原子の中心には原子核があり原子核は陽子と中性子で出来ています。その陽子や中性子をさらに細かくみると、これ以上分けられない最小の粒子にいきつきます。それが素粒子です。ニュートリノは、その素粒子素の一つで138億年前に宇宙がビッグバンで誕生した時に生まれました。今でも太陽内部の核融合や超新星爆発の時にニュートリノは大量に生まれ光に近いスピードで宇宙を飛び交っています。しかも宇宙のどんな場所でも1立方センチに300個ものニュートリノが含まれています。つまりニュートリノを研究することは謎だらけの宇宙の成り立ちを解明する重要な手がかりとなるのです。

 

しかし、ニュートリノを調べるのは困難です。今も膨大な数のニュートリノが宇宙から降り注いでいますが、電気的に中性なので他の物質とはほとんど反応しません。さらに極めて小さい粒子のため原子の間さえやすやすと通り抜けてしまうのです。捕まえることが出来ず観測が困難なためニュートリノは「幽霊粒子」という異名がつきました。

 

ニュートリノを捕獲せよ!

ニュートリノを観測する装置は岐阜県の山奥の地下1000mに作られました。宇宙素粒子研究施設カミオカンデです。カミオカンデは不純物がほとんどない超純水を3000トンも蓄えた巨大な水槽です。ニュートリノはその中を24時間絶え間なく通過していきます。しかし極めて稀な確率で水の原子核に衝突します。するとリング状の青白い微弱な光を発します。これはチェレンコフ光と呼ばれます。このチェレンコフ光の強さや光る方向を壁面の光センサーで観測しニュートリノの持つ情報を分析。こうして1983年、地底深くから宇宙の謎を解く壮大な研究が幕を開けたのです。

 

見えたニュートリノ振動の兆し

梶田隆章さんたちは1983年からカミオカンデでの観測をスタート。注目したのは宇宙から降り注ぐ宇宙線という粒子です。宇宙線が大気中の酸素や窒素などの原子核と衝突するとミューニュートリノと電子ニュートリノが生まれます。梶田隆章さんはこれを観測していました。測定を始めて4年後、データ分析していた梶田隆章さんは異変に気づきました。ミューニュートリノの数が予想した値より大幅に少なかったのです。ニュートリノはあらゆる方向から均等に届くため上空から来る数と地球の裏側から来る数も同じはずです。ところが地球の裏側から来るニューニュートリノの数が予想の半分ほどしか観測されなかったのです。

 

ニュートリノ振動を証明せよ!

梶田隆章さんたちはニュートリノ振動を実証する切り札スーパーカミオカンデを作りました。カミオカンデに比べ光電子増倍管も10倍の1万1000個に。測定の性能は20倍に跳ね上がりました。1996年にスーパーカミオカンデの観測を始めた梶田隆章さんたち。総勢100人を超えるチームでシフトを組みデータを取り続けました。1秒に1万ものデータを取得しますが、そこから見つかるニュートリノは1日10個程。それでも地道にデータを蓄積。日本とアメリカの2チームに分かれてデータに間違えがないか意見を交わし続けました。2年間で4300ものデータを積み上げ99.9999999%以上の確率でニュートリノ振動が起きている証拠を導き出しました。そして1998年、ついに国際会議でその成果を発表。発表の後、拍手がなりやまなかったと言います。世界でニュートリノ振動を認めた瞬間でした。

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