ロズウェル事件・完結編|幻解!超常ファイル

NHK総合テレビの「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」でアメリカUFO神話(3)ロズウェル事件・完結編が放送されました。前編は>>ロズウェル事件・前編|幻解!超常ファイル

 

ロズウェル事件とはニューメキシコ州ロズウェル近くに墜落した空飛ぶ円盤の残骸と宇宙人の遺体を軍が回収。地球外知的生命が実在する証拠を政府が隠し持っているという陰謀疑惑です。疑惑を浮かび上がらせたのは関係者の様々な証言。1947年7月、ロズウェル郊外で光輝く謎の破片を回収。軍は当初、空飛ぶ円盤と発表したものの、その直後に気象観測用の気球と訂正し事件は収束しました。ところが32年後の1979年、元陸軍航空隊少佐ジェシー・マーセルが「あれは気球ではない」と証言し事件に再び火をつけました。これをきっかけに実は私も見たという証言者が続出。中でも初めて宇宙人の話をしたのが土木技師のバーニー・バーネット。マーセルが破片を回収した西サンアグスティン平原で墜落した円盤と宇宙人の遺体を目撃したというのです。そこへ軍のトラックが現れ円盤と宇宙人の遺体を持ち去ったと言います。この話が本やテレビなどで報じられると、さらに大勢の証言者が現れました。その一人であるロズウェル在住のグレン・デニスは陸軍病院に勤めるナオミという看護師から宇宙人の死体について話を聞いたと言います。1980年代、これらの証言はアメリカで大きな話題を呼びロズウェル事件は巨大な陰謀疑惑へと膨らんだのです。

 

ロズウェル事件を構成している話は大きく3種類。
証言①1947年7月 ロズウェルの北西でマーセルが光輝く残骸を回収
証言②機体と宇宙人を軍が回収するのをバーネットが目撃
証言③宇宙人の遺体についてデニスが看護師ナオミから聞いた

 

グレン・デニスの証言を検証

デニスは事件直後ロズウェルの陸軍病院に勤める看護師ナオミから「3体の宇宙人の遺体を見た」と聞いたと言いますが。1995年、科学雑誌「オムニ」がデニスの話を確かめようと陸軍病院の記録や関係者にあたったところ、1947年当時ナオミという看護師は働いていないことが判明。その後になってデニスは「ナオミは偽名だ」と言い出したり別の名前の人物をあげたりしましたが、もはや信憑性は低いと見ざるおえません。

 

バーニー・バーネットの証言を検証

実はバーネットの証言は彼が直接語ったものではなく1950年頃にバーネットから聞いた話を友人が語ったものです。バーネットは事件が再浮上する前に死亡。墜落現場での出来事は30年も前の又聞きなのです。しかも1990年にバーネットの妻の日記が発見されると、その記述が問題となりました。バーネットが墜落現場に行ったはずの1947年7月3日には「とても暑い。バーニーーはずっとオフィスにいた。午後に食料品を買った。とても高かった」と書かれていたのです。夫が大事件に遭遇したとは思えない平凡な1日の記述です。他の日付にも事件をにおわす記述は一切なくバーネットの目撃を裏付ける証拠は何もありませんでした。他にも事件が再浮上した後に出た証言は昔人から聞いたという又聞き、記憶が曖昧で整合性がない、匿名での証言など、どれも確かな信頼性に欠けているのです。

 

謎の破片の正体

1994年、真相解明を求める世論が高まっていく中で空軍は公式調査を行いました。そして出されたのが報告書「ロズウェル・リポート」です。この中で明かされた物体の正体はモーガル気球。モーガル気球は冷戦当時、アメリカ軍が極秘のうちに開発・実験を行った軍事兵器。高度20~50kmの位置に高性能の音響センサーを上げソビエトの核実験の爆発音を感知しようとするものでした。ソビエトの核開発を警戒していたアメリカ軍にとって重要な国防作戦でした。ロズウェル事件は軍の極秘計画をきっかけに、様々な誤解や推測、曖昧な証言が積み重なり膨れ上がった現代の神話だったのです。

 

しかしアメリカでは2001年から宇宙飛行士、元軍人、政治家といった人々がロズウェル事件を始めとする地球外知的生命の情報公開を政府に求める会見を度々行っています。その名は「ディスクロージャー・プロジェクト」事件発生から70年近く経った今も政府への疑惑は消えることなく続いているのです。